No.031
“お祭り騒ぎ”の果ての“批判”は許されるのか?
〜11.7 日本vs.イタリア〜
2001.11.18
text by RB(あーるびー)

 

 

日本vs.イタリア。サッカーの世界における日本という国にとっては、なかなか実現が難しいカードであり、かつ、“普通”ならば後者の勝利という結果を容易に想像させてしまう対戦カードでもある。しかし、今回の試合に関しては、試合に関するほとんど全ての事柄が“普通”ではなかったがために、多くの議論を呼んだ。

まず、試合開始前の段階で“普通”でないということがすでに分かっていた事柄を挙げてみよう。試合を行うことの意味よりも、来年のW杯の舞台である日本を視察したいという意味合いの方が強いイタリア代表。そのイタリア代表の、試合前日の到着という来日時期。イタリア代表に限りなく近い強行軍を強いられ帰ってきた日本の司令塔・中田英寿。会場となる埼玉スタジアムの、まだきちんと根付いてない芝。そして、スタジアムまでのアクセスの悪さ。これらすべての事柄は、試合の開始前に既に分かっていたことである。

これだけの“普通”でない事柄が、試合開始前の段階で明らかだった。しかし、試合開始前の段階でのメディア、サポーターの反応はというと、「美男子軍団来日!」「トッティだ!デルピエロだ!カテナチオだ!」といったもの。中田英寿の影響から、海外のサッカーリーグの中で最も身近な存在であるセリエAでプレーする“あの選手”たちが大挙して日本にやって来るのだから無理もない。私だって、目の前で(バックスタンドの特等席で生観戦!)アズーリのユニホームを見ることができるということが決まってからは、心躍る日々を過ごした。大きな期待は大いに結構だと思う。ここで強調しておきたいのは、この試合開始前の時点で、「コンディション不良のイタリア代表など、日本は勝って当然だ」とか、「埼玉スタジアムの芝はまだ根付いてなく、試合どころではないはずだ」とか、「スタジアムまでのアクセスは混雑して当たり前だ」とかいう発言が全くなかったことである。まぁ、美男子軍団の甘いマスクに見惚れてしまって、前述した“普通”でない事柄には目もくれなかったという訳だ。

そして、2001.11.7。19:20試合開始。約120分後、試合終了。前半1-0。後半0-1。結果は1-1のドロー。

で、問題の試合後である。出てきた出てきた、いろんな意見が。一般的なメディアの論調としては、

「強豪イタリアと引き分け!日本、善戦!」

が大半を占めた。しかし、熱烈サポーターの皆さんが集まるネット上の掲示板などでは、

「あんな状態のイタリア代表に勝てない日本は、W杯本番で決勝T進出なんて無理!」
「中田英寿は日本代表には不要」
「何だ!あの芝は!サッカーができる状態ではないじゃないか」

などと、日本代表やスタジアムに対して批判的な意見が多く聞かれた。また、試合終了後、最寄り駅までの長い行列の中にいた私の周りでは、

「何で進めないんだよ!」

というような声も聞かれ、挙句の果てには、交通整理をしている係員の制止を振り切って、ひと、ヒト、人の行列を傍目に通行禁止区域を進んでいく人間まで。

私が不思議でならないのは、何故試合後になって初めて、イタリア代表のコンディション不足に託けて日本代表は勝つべき試合だったとか、スタジアムの芝が悪すぎるだとか、スタジアムまでのアクセスが不便だとかということが取り上げられるのかということである。すべてのことは試合前から分かっていたことだ。さらに言えば、芝の問題は、埼玉スタジアム2002の柿落としとなったレッズ戦の状況を見た時点で分かっていたし、スタジアムまでのアクセスに関しては、あの場所にスタジアムを建設するということが決まった時点から分かっていたことである。

試合前、そんなことには全く言及することなくお祭り騒ぎだった人間たちに限って、試合後になって、前述のような議論の対象にもならない結果論を恥ずかしげもなく大きな声で叫ぶのである。

ある事柄に対する評価というものは、事前の様々な状況を考慮した上で予想した結果と、実際に起きた事柄や結果。この2つを照らし合わせることによって行うものなのでなないのだろうか。

試合前、「強豪イタリアには勝てるわけがない」という風潮で報道していた多くのメディアが、試合後、「強豪イタリアと引き分け!日本、善戦!」という主旨で今回の試合結果を報道したことに関しては筋が通っていると思う。しかし、各メディア同様、試合前にお祭り騒ぎ状態で、「勝てるわけないよ」というようなことを言っていた人間が、あの試合内容を見て、「あんなイタリア代表なら…云々」とか、「あんな中田英寿は…云々」とか、「あんな芝じゃ…云々」などと発言することには憤りすら感じてしまう。

「『あんな』はすべて結果論」

ちなみに、私の試合前の予想は、「相手がいくらコンディションが悪いとはいえ、日本は1,2点取られて完封負けかな」というもの。それに対して、結果は1得点を含む1-1のドロー。芝生は予想通りの捲れ上がり具合。スタジアムまでのアクセスは、思っていたより遥かに良し。

これらのことから、私の評価は『日本善戦!私は満足!』である。

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