第九レッスン<その5>

音取りをしよう 1
D〜G



 ここでは、実際に音取りをしていきます。
 初めから順を追って、全パート同時に進めていきましょう。

 その前にひとつ、なるべく広い部屋で、声を充分響かせられる状態で歌いましょうね。
 「音取りだから」と小声で遠慮しがちに歌ったり、鼻歌まじりに歌ったのではちゃんとした音は取れません。いざ、大きな声を出してみたときに音取りのときと発声のメカニズムが違うと、実は音がちゃんと取れていなかったりします。
 ですから、本番で歌うのと同じ声で音取りもしておくべきです。
 しかし、どうしても広い場所がなく、小声でしか練習できないという方もいらっしゃるでしょう。
 そんな方は、腹式呼吸を意識して喉もちゃんと開き、本番で声を出すのと同じ体の動きを意識して作るようにしてください。
 音取りだからといって体を甘やかさないこと!

 また、音が取れてきたら他のパートの音を弾いてみてそれに合わせて自分のパートを歌うとか、伴奏テープに合わせたりCDなどのアンサンブルの音に合わせて自分のパートを歌ってみて、音がちゃんと取れているか確かめてましょう。

 さあ、ではいよいよ音取りです。

237小節 Allegro assai 〜
 バリトンソロのあとにほんの2小節だけバスパートの合唱が入ります。
 ソロの ミレに続いて ララ と歌いますが、合唱の部分だけ音を取っても面白くないので、必ずソロパートの音を聞いてから自分の音を出せるようにしておきましょう。
 そうすれば、このたった1つの音を取るのが実はけっこう難しいことに気付きます。
 重心を下げ、おなかを充分に開いて声を出しましょう。喉声にならないで。
  の5度下の音ですから和声感がある人にはそう難しい音程ではありませんが、バスらしい豊かで深い声が出せるようにおなかをしっかり保って歌ってください。
 
練習番号D 257小節〜
 「よろこびの歌」として有名な旋律の後半部分なので、みなさんよくご存知でしょう。
 全パートがユニゾンで同じ音で歌います。
 楽譜ではアルト以下の3パートになっていますが、4パート全員で歌うことが多いです。佐渡さんも、そうしておられます。
 ただ、ソプラノにとっては大変低い音程なので、無理して歌うと声をつぶしてしまいます。あるいは、低くて楽だと思って地声で歌ってしまうと、喉が荒れます。
 無理せず音程はアルトにまかせておきましょう。

 アルトの人にとっても、低い音程です。第九は全体の音程が高いので、ここで地声で歌ってしまうとやはり危険です。
 重心を下げ豊かな声で歌うようにしましょう。

 テノールにとっては、冒頭のオクターブ高い音がくせもの。
 歌っておられるわりに、残念ながら聞こえてきません。無理して飛び出して歌わなくてもいいですよ。また260小節も難しいわりに聞こえてきません。
 それより、263小節の レレミファ# とオクターブ上がるところはテノールの聞かせどころですから、しっかり音を取って音程がピシッと決まるようにしましょう。
 高い音程になっても叫んだり地声になったりせず、喉の奥の上のほうを開けるようなつもりで、頭のてっぺんから良い音を響かせましょう。
 音程をピシッと決めるには、オクターブ上がる前の低い方の  を出しているときにおなかを高い方の  を出す形に準備しておくことです。先に体の準備をしておくことで、声を出したとききちんと正しい音程が決まるようになるのです。
 バスの人はそう難しくないところだと思いますが、260小節の低い  の音などは、他のパートには出せない音ですので、しっかり出しましょう。 この音は、アルトでは出せる人はわずかなのです。

 258小節の ミファ#ソファ#レの ファ# から  への音程はたった半音ですが、これが意外と難しいです。
 半音で動く場合は、上昇するときは広い目に音程を取り、下降するときには狭い目に音程を取るとピッタリ決まります。
 ということは、我々が感じている音程が、上昇形では実際よりやや狭く、下降形では実際より広く感じてしまっているということですね。
 これは、どこを歌うときにも半音の音程なら同じことですので、覚えておいてください。
 260〜261小節のシンコペーションになっている部分では、260小節の ファ# に強拍が移動しているわけですから、これをはっきり歌うことが大事です。

 こんな調子でやっていては、なかなか進みませんね。(笑)先を急ぎましょう。

練習番号E 285小節〜
 ここからは各パートの音が別れて、アンサンブルになっていきます。合唱の醍醐味はここからですね。
 ここでは、バスがたの3パートに先駆けて1拍早く出ます。
 できれば、バスの ラ を聞いて自分の音が取れるようにしておきましょう。

ソプラノ
 音が高いので大変ですが、旋律そのものは有名なあのメロディ。足をしっかり踏ん張って、重心をしっかり下げ頭のてっぺんから声を出して頑張りましょう。
 289小節から290小節の  の音はめちゃくちゃ高いですので、出ない人は無理して出さないでください。喉をつぶします。出る人や、オケの楽器に任せておきましょう。

アルト
  が続いてちょっとお経みたいな旋律ですね。
 でも、ソプラノといっしょに歌ってみると、これが実に大事な音だということがわかります。
 お経にならないで、これもステキな旋律と思って歌いましょう。
 288小節の ファ#ソ#ラ の音程がちょっと下がりやすいので、気をつけて。

テノール
 いつも聞くたびに、ヘンな旋律だなあ〜と思うところですね。
 アルトと同じように、お経にならないで難しいけどしっかり音を取りましょう。
 285小節の ファ# の音、287小節の ラ# に気をつけてください。

バス
 他のパートより1拍早く飛び出します。思いきって飛び出してください。
 オクターブやら5度やらで上がったり下がったりする、バスらしい音程ですね(笑)
 289小節から始まる8分音符の旋律は、音が滑ってしまわないように1つ1つの音を大事にしてください。

練習番号G 313小節〜
ソプラノ
 いきなり高いところで8分音符でタラタラタラタラ〜と歌わなくてはいけないので難しいですね。
 1つ1つの音をしっかり取りましょう。
 しかし、全部の音を同じ強さで歌うのではなく、強拍と弱拍に違い、拍の頭と裏の違いをきっちり歌い分けるようにします。スラーを大事にして。
 かといって拍の裏が抜けてしまっていい加減な音程になってはいけません。
 317小節からの  の音はものすごく高いので、しっかり足を踏ん張って目を開けておなかも思いっきり使って出しましょう。
 頭のてっぺんを突き破って声が出るような感じで。
 その後の部分で、安心して音が下がらないように気をつけてください。まだまだウルトラC連続技が必要ですよ。
 319小節のファ#ミソファ# は音がいい加減になりやすいので気をつけて。

アルト
 2小節はのんびり歌っていて、いきなリ音が高くなります。
 低いときに気を抜いてないでしっかり体の準備をしておかないと、正しい音程まで一気に上がれません。
 8分音符で動くところの注意は、ソプラノと同じです。
 318小節のオクターブ上がる音程にも気をつけてなくてはいけませんが、それより、その後の  が上がりきらないことが多いので気をつけてください。
 319小節の ソファ#ミファ#レド#ミレ と急に高くなるところも、前もって体の準備をしておきましょう。 ファ# と高い  の間で声を出すところが喉の奥でくるっと後ろから上がるようなイメージで歌いましょう。高くなったら、目の間から声を出すように・・・

テノール
 超難しいところです。
 音は取りにくいは、音程は高いは、動きは速いは・・・ほんと、大変ですね!
 315小節から316小節に移るとき、急にオクターブが低くなりますが、沈み込まないでおなかを使って深い声を出せるようにしましょう。
 ミファ#ファ#ソ#ラミレド# は ファ#ソ# から  へいく音程に気をつけて。  続く317小節から318小節へ行くときも、ミファ#ソファ# から ドのナチュラル へいく音程が難しいので、何度も繰り返して音を取るようにしましょう。

バス
 テノールとは全然違って、  と  しか音がありません。
 お経にならないで、和音の中で音を取るようにしましょう。そうすれば、同じ  でも Dの和音の中の属音(5度の音)なのか、 Aの和音の主音なのかという違いがわかります。
 主音と属音では和音の中で果たす役割が違うので、本来なら歌い方も当然変えるべきです。
 そこまではできなくても良いので、せめてお経にならないことだけでも心がけてください。

   321小節からは和声です。
 ソプラノはひたすら高いので、喉を締め上げるような声にならないよう、くれぐれも体を使って声を出しましょう。
 アルトは、324小節の  で急に上がるところで、音が低くならないように。また、最後の330小節は安心してしまうと音が下がりますから、最後まで音を保つよう努力してください。
 テノールは不思議な音形になってますが、これは和声の中で必要な音を割り当てたため。それなりにきれいな音だと思いますので、大事に歌ってください。特に330小節で ファのナチュラル に変わるところは大事な音ですので、しっかり音程を取ってください。
 バスもテノールと同じ、330小節の ファのナチュラル を大切に。

 もっともっと注意すべきところはあるし、伝えたいこともいっぱいあるのですが、今回はこの辺まで。
 次回は、マーチからMの部分を取り上げます。

★ 第九こぼれ話 ★
 合唱の練習では、オケつきの大曲などでアルファベットの練習番号ついている場合、聞き間違いを防ぐためその頭文字で始まる適当な言葉に置き換えて伝えることがあります。
 たとえば、A=アメリカ、B=バッハ、C=チャイナ、D=ドイツ など。
 みなさんのクラスの指導の先生はどうでしょうね?




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