Solitaire's Company/essays/Sonic Blast Man/
ゲームセンターには、よくパンチングマシーンが置いてある。ご存知ない向きのために説明させていただくと、備え付けのグローブで的を殴るとパンチ力を測定してくれる機械である。よく「助走を付けないでください」とか「手以外で殴らないでください」という注意書きがあって、相当荒っぽい使い方をする人間の存在を示唆している。
ただ殴るだけでは飽きも来ようというわけで、これにもさまざまな種類がある。非力な僕はあんまりやったことがないが、見ていて好きなのは、タイトーの出している「ソニックブラストマン」である。
これはストーリー仕立てになっていて、5つほどのコースがある。それぞれ難易度に応じて規定値が設定されており、3発のパンチ力の合計がその規定値を超えればクリアということになっている。用意されているシチュエーションはさまざまだ。「女性が暴漢に襲われている」とか「怪獣がタンカーに襲いかかろうとしている」とか「巨大隕石が世界を破滅させようとしている」とか、難易度に合わせて小さい事件から大きい事件まで。しかし、解決方法はたった一つ。
「3発殴って解決しよう!」
どんな事件でも3発。暴漢も、怪獣も、巨大隕石も全部3発。世界に起きるあらゆる事件を、ソニックブラストマンは3発殴って解決するのである。なんとお手軽。なんと単純。世の中がすべてこんなふうだったらなぁ、と願わずにはいられない。
たとえば、残業が多く、家に帰るのはいつも真夜中過ぎ。朝は定時出社を義務付けられる。体力の限界が近付くが、仕事は容赦なく襲いかかる。仕事の締め切りまであと日数もない。ああ、いったいどうすれば?
そんな時「3発殴って解決しよう!」となればどんなに簡単だろうか(誰を殴るのかはよくわからないが)。
友人との信頼関係に悩む時。将来の進路に迷いを抱いた時。心に深い傷を負った時。人生に絶望し、どうやって生きていけばよいのか分からなくなった時。そうだ、そんな時こそ!
「3発殴って解決しよう!」……ちなみに、非力な僕は一番簡単な難易度でさえクリアしたことがない。人生、なかなかうまくいかない。
('98 9/28)
Solitaire's Company
もがみたかふみ
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