Solitaire's Company/essays/con pannna//bottom/

con pannna
コンパンナ
外国語は愉し


 最近入った安いカフェで「コンパンナ」というメニューを見かけた。コーヒーの名前らしい。240円。ブレンド180円よりちょっと高い。

 僕は外国語好きである。いわば洋モノかぶれの延長みたいなもので、横文字を覚えたり、短い挨拶を覚えたりするのが好きなのだ。そのせいで英語好きなわけだが、それ以外の言葉も好きだ。言語感覚は悪くないつもりだが、といっても言語の天才というわけにはいかない。ただ好きだ。
 以前一度だけローマに行った時に、頑張ってイタリア語会話の本を買って勉強した。大して役にはたたなかったが、その時のかすかな記憶が、コンは英語のwithにあたるものだと告げている。

 昔、地理はむちゃくちゃ苦手だった。だけど外国の地名や単語、その由来・語源を知るのは割と好きだった。土壌の単元でテラ・ロッサという単語を覚えた。“赤い土”という意味だと牛乳ビン底みたいなメガネの先生がおっしゃった。「テラ」はなるほど「地球へ……」のテラ、つまり英語のearthにあたるのだろう。ロッサはなんか車関係で「テスタ・ロッサ」とかいうのを聞いたことがある。ロッサは“赤”という意味で、まず間違い無くrose(薔薇)やロゼ・ワインと同語源だ。

 イタリアのデザートが流行った時に、パンナコッタというのがあった。“焼いたクリーム”という意味なんだって、と女の子の友人が教えてくれた。

 自由が丘を歩いていた時、インテリアのお店で、イタリア風の素焼きの壷を見かける。テラコッタと呼ばれるモノらしい。テラは“土”。そして、パンナ・コッタが“焼いたクリーム”だとすればテラ・コッタは“焼いた土”か。素焼きの壷だからなんとなく納得がいく。

 コンパンナを見た時、ふと考えた。コンはたしかwith。パンナはクリーム。コンパンナで「クリームつき」の意味なのだろう。果たせるかな、240円払って出てきたのは、ちょうどウィンナコーヒーのようなクリームの乗ったコーヒーだった。
(ちなみに、ウィーンではウィンナコーヒーとは言わない。アインシュペンナと言うらしい。ただあまりに日本人観光客がウィンナコーヒーと言うせいで、今では現地でも通じるようになってしまったらしい)
 こうやってすべての単語がつながると、パズルがハマったみたいに嬉しい。

 こんな話をすると、人には「よくそんなこと覚えてられるね。記憶力いいね」と言われる。
 でも、もしも本当に記憶力が良かったなら、牛乳ビン底みたいなメガネの地理の先生は、僕のテストに40点をつけたりはしなかっただろう……お世辞にもいい点数とは言えない。
 外国語がただ面白くて、好きなのだ。ただそれだけ。

(1999.12.13)


Solitaire's Company/essays/con pannna//top/

Solitaire's Company
もがみたかふみ
solitair@wa2.so-net.ne.jp