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mathematical mistakes
数学的過ち
賢くなったと思った時、人はさらに愚かになっている。


 日本の数学のレベルは世界でもトップクラスだと聞いたことがある。だが、数学や理論は現実とは大きく異なっていて、それを勘違いするとひどい目にあう。  某所掲示板に、音楽業界を目指す人から「プロの人に『1日1曲以上は最低でも作れないとね』と言われちゃいました」という書き込みがあった。それに続けて別 の人が「僕も、1ヶ月で30曲はとても無理ですねぇ」というレスをつけていた。  この誤謬がお分かりだろうか。 1日で1曲。30日で30曲。数学的には、正しい。1:1=30:30である。だがそれはおかしい……と僕は思う。“音楽業界の人”はたぶん「30日で30曲作れ」とは言わなかったんじゃないだろうか。 たとえば、3曲作成依頼を受けた時に3日で仕上げる。これは分かる。だがそのペースを30日続けるのは、スピードではなく持久力の勝負だ。それはまったく違うものである。  友人と一緒に料理を作った時のこと。友人は沸騰している鍋を前に、中火にするように主張した。いわく「水の温度は沸点より高くはならないのだから、強火を維持するのは無駄 だ。沸騰するギリギリで中火を維持すれば十分だ」これは正しい主張だろうか?  彼がどこまで理論の裏づけを持っているのか、鍋を前にあやうく論争を開始するトコロだった。彼の方がその手の科学知識には詳しいので僕が心配することじゃないのだが、しかし即座に納得はしかねるものがあった。料理は実験室のフラスコの水とはまったく違うものだからだ。

(以下、必要ナ人ダケオ読ミクダサイ。)  水が沸騰するというのは水が内部から気化する状態のことで、それ以上に水の温度が上がることはない。たしかにそうだ。だが、熱伝導はどうだ? ジャガイモへ伝わる熱の量 には変化がないのか? 水が気化するというのは、熱エネルギー放出の過程である。ジャガイモが煮えるのも、熱エネルギーの伝達の過程である。気化する量 が変化したときにジャガイモに伝達されるエネルギーに変化が生じないだろうか? 友人は、それを正しく判断しているのだろうか? (ココマデ)

 少なくとも、「水の温度は沸点以上にはならない」という法則からだけでは、判断できない要素が料理にはある。うかつに法則を適用はできない。 我々が身につけるべきなのは、正しい知識と、そしてそれをあやまたず使うだけの知恵・分別 である。後者を教えてくれる学校、教師というものは、ほとんどない。

(2001.5.12)

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