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Question Master
質問と答え
訊ねよ、さらば答えられん
 もがみさんの持つスキルは多々あるが、たいていはどうでもいいスキルである。最も最近に開発された最新のスキルといえば「片手でポーションのミルク(例の、喫茶店のコーヒーについてくるヤツ)を開ける」である。……世にもどうでもいいスキルではないか。
 このように数あるどうでもいいスキルの中にあって、人に誇れる最強のスキルは、文章書き……かというとそうでもない。だいたい、「文章書き」というのは世の中に多すぎる。ちょうど免許証と同じだ。免許証があれば確かに便利だが、免許を持っているからといって少しも自慢にはならない。「文章が書ける」というのも、便利ではあるが、今どき自慢にはならないのだ。ちょいと才覚があれば、面白い文章なんてものはすぐ書ける。猫も杓子もネットで自己表現するこの時代に文章力を自慢するなんてのは、慢心以外の何物でもない。油断すると素人さんにあっさり負けたりするのだ。そう考えると、「文章でなら誰にも負けません」と言うのはちょいと憚られる。
 そこで浮上する最強スキルというのが、「教師スキル」である。偉そうなことを言わせてもらえば、もがみさんのこいつはちょっとしたものだ。まあなんつーか、そこらの素人さんにはまず負けない。というか、僕も素人なんだけど。
 ともかく、若干13歳にしてすでに同級生に「先生」と呼ばれた男である。変に落ち着いた物腰と奇矯な質問にも動じない忍耐強さ。生まれ持った偉そうな態度に知ったかぶり。とまあ、教師になるために生まれてきたタイプ。教師にさえなっていれば、今頃安楽で平穏な人生を送っていたであろう(今は一生懸命その人生を棒に振っているトコロ)
 そんなもがみさんに質問を持ってくる人は後を絶えない(タダだしね)。かといって、もがみさんが免状まで持ってる英語については、質問する人はあまりいない。もがみさんの英語は純国内産(英語圏に行ったことない)でちょいと(かなり)アヤシイし、昨今は英語ペラペラ話せる人が文章書きと同数か、それ以上に多い。翻訳ソフトもある。だもんで質問分野のトップは、パソコン関係である。

 パソコンは実は教員不足の分野なのではないかと思う。だいたい、パソコンに詳しい連中(例のGEEKと呼ばれる人たち)というのは母国語がマシン語(0と1)だから、日本語で会話するのが難しいのだ。第1外国語のC言語あたりまでは勉強しても、その先のBASIC言語、まして日本語なんて自然言語まで学んだヤツはほとんどいない。なので、質問者と回答者のやりとりは、ちぐはぐになりがちだ。
 かといって、回答者の日本語ばかり責めるのも可哀想である。質問者の方の日本語も、相当アヤシイ。というか、日本語じゃなくて何かそれ以前の問題である。
rrrrrrr.........
今日もどこかで電話が鳴っている。パソコンに疎い知り合いからのSOSだ。質問者の多くが女性であるのは、「女性がパソコンに弱い」というよりは、きっと「野郎にパソコンの質問をしたくねぇ」という男の意地が関係していると思われる。ともかく電話に出てみよう。
質問者「ねえ、パソコンの調子がおかしいの」
ふうむ、なるほど。となるとまず問題を把握しなければならない。お医者さんなら「どうされましたか?」と訊く場面だ。もちろん僕も訊く。
もがみ「えーと、何がどうなったわけ?」
質問者「止まっちゃった」
……と、言われたところでさっぱりわからん。
もがみ「何やってたの?」
質問者「よくわかんない」
……わかんないのはこっちである。
 こんな調子であるから、まず、そもそも事故状況を理解するのに一苦労だ。問題を解決するのは、その後の話である。

 きちんと花を咲かせたければ、きちんと世話をするべきだ。きちんとハーモニカを鳴らしたいというなら、きちんと吹かなければならない。人からきちんと遇されたいと思ったら、きちんと人に接するでしょう。すべて、正しい行動がまずあって、それで初めて正しい反応が得られる。きちんとした回答を得ようと思ったら、まず、きちんと質問すべきである。
 回答者が答えを出すには、必要最低限の情報というものがあるのだ。だから質問する時は、現状を把握して説明する。自分が訊きたいことをまとめておく。なんなら紙に書き出すくらいしても罰は当たらない。そうすれば、スムーズに質問することができ、回答もスムーズに得られるはずだ。(まあ質問者自身には「もう何がなんだか分からない」という場合が多く、そこから情報を引き出すのも回答者の腕前なわけだが……)

学校の先生が、こういうことをこそ教えるべきだ。質問の仕方。それって英語より数学よりパソコンよりずっと大事なことなのだ。生きていくために一生必要な知識なんだから。

 

(2002.11.30)

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