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innocence of guys
人には訊けない
小賢しい者どもよ、知者に学べ。

 時々、漢に出会う。貴重な出会いと言うべきだ。男はそこらにたくさん余っているが、漢と呼ぶべき人物はあまり多くはいない。
 漢。一見すると、物腰、まなざしは穏やかで人なつっこい。それは奴らの心中に余裕が有り余っているからだ。人生を余裕綽々(しゃくしゃく)生きている。その実、そばに立っているだけで圧倒されそうな強烈なパワーを秘めている。下手に触れると吹き飛ばされそうである。すごい奴らなのだ。で、時々、その漢からすごい質問を受けることがある。どう「すごい」って、まあ聞いてよ。

 友人S氏はバリバリのWebデザイナー/プロデューサーで、有名企業Webサイトの製作などを手がける第一線の漢。2年ほど前、ちょうど宴席がADSLの話題で盛り上がってきた時に、それまで黙っていたS氏はいきなり「ADSLって何?」とのたもーた。「何?」ってあんた……Webデザイナーなんじゃないのんかい……。
 先日は携帯電話の話題の最中に「あの“パケット”って何なの?」と言い出して僕が説明する羽目になった。あたしゃ別にネットで仕事をしているわけではない。たまにそういう勉強をしようかとでも思ってる程度なのだ。でも一流WebプロデューサーであるS氏はヘーキでそういう質問をして「そーなんだ。またひとつ賢くなった」とか言いながらウーロン茶をすすっている(そういえば、ここに挙げる漢はどっちも酒が飲めない下戸らしい。奇妙な符合だ)。そういう漢である。

 知人のU氏は第一線のジャーナリスト。バリバリのライターで、某パソコン誌で働いた経験があると聞いている。ある日突然メールが来た。普段めったにメールのやりとりもしていないのに、である。「ソフトの割り当てメモリを増やす方法を教えてください」。これはいったい、何かのテストなのか? 不思議に思いながらも手順を書いて送ったら返事がきた。「おかげさまで出来ました。思いこみというのは恐ろしいものでずっと勘違いしてました」……ねえねえ、それってどういう思いこみ? 何をどう勘違いしてたのよ……?。 
 たいていのMacユーザーが通る道、「割り当てメモリを増やす方法」。何の因果か、どうやってだか、今までそれをパスしてきたらしい。すげぇ。漢である。

 漢は、恥ずかしがったりしないものらしい。
「俺はWebデザイナーだからコレくらいは知ってないと恥ずかしい」とか
「パソコン誌で書いてたんだから今さら訊けない」とか、そういうセセコマシイというかコマイというか、そんな姿勢とは無縁である。些事にはこだわらないのだ。
 知らないものは知らない。わからんものは訊ねる。見栄っぱりで恥ずかしがりな僕からすると、なんともすげー話である。
 漢への道は遙かに遠い。遠いよ。

(2002.12.24)

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