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Hotzenplots
大どろぼうホッツェンプロッツ
なんたる悪漢!


 誰しも、子供の頃に読んだ心に残る書物というのがあると思う。もちろん僕にもたくさんある。『ピーナッツ』もそうだし、『少年探偵ブラウン 3:口笛を吹くゆうれい事件』だってそうだ。『子供寄席』なんてのもあった。
 しかしワクワクするストーリー、軽妙なユーモア、個性的な挿絵、そしてファンタジーで僕を魅了したものといえば、プロイスラー作『大どろぼうホッツェンプロッツ』以外にはありえない。ドイツの児童向け物語である。

 舞台はドイツの小さな街らしい。カスパールとゼッペルという仲良しの少年たちが主人公だ。カスパールは、おばあさんと一緒に住んでいる。そこに登場するのが指名手配中の大泥棒ホッツェンプロッツ。やつは大胆不敵、白昼堂々、おばあさんから手回しのコーヒー挽きを強奪するのだ。しかもハンドルをぐるぐるまわすとオルゴールが「5月はものみな新たに」を演奏する、おばあさんのお気に入りのコーヒー挽きをだ。なんたる悪辣非道!
 カスパールとゼッペルは二人で協力してホッツェンプロッツを追跡する。おばあさんのコーヒー挽きを取り戻すため……これが第1巻のあらすじである。2巻の『大どろぼうホッツェンプロッツふたたびあらわる』や『大どろぼうホッツェンプロッツみたびあらわる』も、大変にぎやかで素敵な物語だ。

 この物語が僕にもたらしたものは、計り知れない。この作品には大きく影響を受けている。中でも最大の影響と考えられることは、軽妙なるユーモアである。
 登場人物が時おり見せる「鳩が豆鉄砲を食らったような」めんくらった顔というのは、演劇の舞台で見たらきっと吹き出してしまうだろう。キャラクターや小道具も気が利いている。「国家検定資格3級占い師」だの、「こしょうピストル」だの、「ジャガイモの皮をむくのが嫌いな魔術師」だの……。
 僕は自分でも物語を書くようになった。こういった楽しい物語が作れたらいいなと思う。
(でも、できるのはなぜか悲劇ばっかりなんだけど……)

(2000.1.29)

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