変光星観測を始めるにあたって

 

第1章 変光星と変光星観測とは

第2章 変光星の種類

第3章 変光星観測の方法

第4章 さらに進んだ変光星観測

第5章 変光星観測者団体、および観測報告の連絡先

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第1章 変光星と変光星観測とは

 夜空に見える星はごく一部を除いて「恒星」と呼ばれる太陽系外の星です。「恒星」とは文字の通り恒に同じ明るさの星、という意味ですが、実際に測定すると明るさを変える星があります。これらの星を総称して「変光星」と呼びます。

 「変光星」にも周期的に変光するもの、不規則に変光するものなどいろいろあります。その明るさを測ることが「変光星観測」です。このことを「目測(もくそく)」といいます。目測では変光星とその周りの星を比較して、変光星の光度を「○.○等」と求めます。この時比較する星を「比較星」と呼びます。観測結果を集計し、時間と光度の軸でグラフ化したものを「光度曲線」と呼びます。

 

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第2章 変光星の種類

 

 変光星のタイプは大きく分けて6種類、さらに細かく分けると30種類以上あります。ここではその中からアマチュアの観測が多い、代表的なものを採り上げます。

 

(1)脈動変光星(M,SR,RVなど)

 星自身が大きさを変えることで明るさが変わる星です。光度曲線は波形となります。この中でも代表的なものがミラ型、半規則型、おうし座RV型です。

 ミラ型(M)は変光範囲が2.5等以上、変光周期が80〜1000日と、長期間にわたって大きな光度変化を見せる星です。代表的な星としてくじら座ο(ミラ)、はくちょう座χなどがあります。

 半規則型(SR)は変光範囲が2等以下と小さく、変光周期は30〜2000日になりますが、ミラ型に比べると不規則に光度が変化します。代表的な星としてオリオン座α(ベテルギウス)、さそり座α(アンタレス)などがあります。

 おうし座RV型(RV)は暗い極小(主極小と呼びます)と明るい極小(第二極小)が交互に現れますが、時々それが入れ替わることもあります。変光周期が100日前後と短いので、短期間で特徴ある光度曲線が書けます。代表的な星としてたて座R、いっかくじゅう座Uなどがあります。

 

(2)爆発星(RCBなど)

 星自身が爆発し、そのとき放出されるガスなどによって明るさが変わって見える星です。代表的なものとしてかんむり座R型があります。

 かんむり座R型(RCB)は星が炭素のダストを放出することで、突然暗くなる星です。暗くなる周期などは予想できません。かんむり座Rが代表的な星です。

 

(3)激変星(N,UGSSなど)

 二つの星が回りあう「連星系」になっており、それらの間にあるガス流などの変化により急激に光度を変化させる星です。新星、矮(わい)新星などがあります。

 新星(N)は突然10等級くらいの増光を見せ、その後暗くなっていく星です。その暗くなり方にも急激になる星、緩やかな星、途中でまた明るくなる星などいろいろあります。新星は新天体として登録され、第一発見者名は記録に残されます。

 矮新星(UGSS)は十数日から数百日の周期で急激に5等ほど明るくなる星です。明るくなった後は10日くらいで暗くなってしまいます。代表的な星としてふたご座U、はくちょう座SSがあります。

 

(4)食変光星(E)

 連星系がお互いを隠しあい変光します。変光周期は普通は半日から数日、長いものですと数千日にもなります。暗くなる期間は数時間から数日です。ペルセウス座β(アルゴル)、こと座βなどが代表的な星です。

 

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第3章 変光星観測の方法

 

 ここではすでに星空の観望などをある程度経験して、望遠鏡や双眼鏡の使い方、星座の配置などを把握した方を対象として話を進めます。

 

(1)必要な機材

・望遠鏡や双眼鏡

 普段から星を見るのに使用していて、使い慣れているものなら何でも構いません。暗い星を観測するなら大きな口径のものを使いましょう。どちらにしても手持ちでは使えませんから、簡単に振動しない頑丈な架台を使用するようにして下さい。

 

・懐中電灯

 星図などを見るのに使用します。目に刺激を与えないように、赤いセロファンやビニールテープで光を弱めるようにして下さい。

 

・星座早見版

 大まかな星座の位置を確認するのに使用します。

 

・変光星図、普通の星図

 変光星の目測には比較星となる星の光度まで書かれた、専用の「変光星図」が必要です。「変光星図」は天文雑誌に掲載されていますし、変光星観測者団体に連絡すればもらえることもあります。

 このほか変光星の位置を確認するため、普通の星図もあると便利です。

 

・天文関係の年鑑

 年鑑には長周期星の極大予報、食変光星の極小予報などが載っています。観測の目安とするのによいでしょう。

 

・時計

 観測時刻を知るために使用します。

 

・鉛筆、記録用紙

 目測結果を記録するのに使用します。記録用紙はあとの目測手順を参考に作るとよいでしょう。

 

 そのほか観測中は冷え込むことが多いので、特に冬場などは防寒に気を使ってください。

 

(2)目測方法について

 ここでは自分の目(眼視)で変光星の明るさを目測する方法について説明します。目測方法には「比例法」と「光階法」の2種類があります。

 「比例法」は変光星よりやや明るい星とやや暗い星を見つけて比較星とし、その間を10等分して変光星の明るさがどの割合にあたるか測定する方法です。「光階法」は比較星を1つ以上見つけ、変光星との光度差が自分の見分けられる最低値(これを光階値と呼びます)の何倍か、と測定するものです。

 初めての方には「比例法」の方が理解しやすいと思いますので、これで説明していきます。

 

(3)実際の観測

・まずは星座早見版、星図、変光星図などを使い変光星を導入します。変光星と言っても違う形をしているわけでもないので、初めて探すときは誰でも苦労します。そのときは変光星図にある特徴的な明るい星並び(例えば三角形、三矢型、円弧型など)を見つけ、それを目印に探し出します。

 この時使用している機材の実視界がわかっていると大変便利です。

・変光星が導入できたら、それに近い明るさの比較星を探します。「比例法」ではやや明るい星とやや暗い星の2つが必要です。この時観測の誤差を少なくするため、比較星同士の光度差は1等以内とし、比較星と変光星がなるべく水平に並ぶようにするほか、赤く見える星を比較星に使うのは避けます。

・2つの比較星の間の明るさを10等分し、変光星の明るさがどのくらいに該当するかを見ます。ここでは仮に明るい比較星(5.8等)から7、暗い方(6.6等)から3としておきましょう。

・この目測結果を記録用紙に記入します。記入方法はあとでわかりやすければどうやってもいいのですが、下を参考にして下さい。

(例)

星名 観測日 観測時刻 目測結果 

MONU 98/2/2 22:10 (58)7V3(66)

星名:変光星名です。ここでは略号で書いています。

観測日、観測時刻:観測時刻は30時間制を用います。例えば3日午前2時なら26時となります。

目測結果:比較星の光度、目測時の割合がわかるように書きます。例のVは変光星を表すのため普通に用いる記号です。

 

(4)観測の整理

 記録用紙に書かれた目測結果から、変光星の光度を割り出します。このとき記録用紙の紛失などに備えて、別に記録帳やパソコンの集計ファイルを作っておくとよいでしょう。また集計する際は星名ごとにまとめておくと、あとでグラフ化する際に楽になります。

 

・目測結果から変光星の等級を割り出す方法

計算式は、明るい比較星をa、暗い比較星をb、目測結果がα:βであれば、変光星の等級Vは次のようになります。

V=a+α/10*(b-a)

先ほどの例ではこうなります。

V=5.8+7/10*(5.8-6.6)=6.36

小数点第2位以下は四捨五入しますので、今回は6.4等となりました。

 この観測結果を日時順に整理して集計していきます。

 

(5)観測結果の集計

 観測結果の数字を眺めているだけでも変光の様子がわかりますが、さらにわかりやすくするためグラフ化することをおすすめします。

 最も簡単な方法は普通の方眼紙を用意し、横軸に観測日時、縦軸に目測光度を書き込んでいきます。それぞれの目盛り間隔は観測期間の長さや変光範囲から適当に設定します。

 パソコンを使える方(このサイトをご覧になれる方はパソコンを利用していると思いますが)は表計算ソフトを利用して集計することをおすすめします。この場合の注意点として、光度軸の設定変更があります。普通のグラフは下が小さい数値、上に行くほど大きな数値となるようになっていますが、星の等級は逆に大きな数値ほど暗く、小さな数値ほど明るくなります。そのため軸を反転する必要がありますが、最新のソフトならほとんどその機能が揃っています。

 

 また、日本変光星研究会ではPC-9800シリーズ用の集計ソフトとしてDBVS(Database of Variable Stars)を配布しています。ご希望の方は日本変光星研究会に問い合わせていただくか、パソコン通信Niftyserveのデータライブラリからダウンロードして下さい。

 

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第4章 さらに進んだ変光星観測

 

(1)光階法による測定

 第3章では「比例法」による目測を紹介しましたが、慣れてくると2つの光度差が少ない比較星を探すのが面倒になってきます。また、比較星の一方が変光星であると観測が無効になってしまいます。そのため1つの比較星で測定できる「光階法」をマスターする必要があります。

 第3章(2)の説明でも簡単に書きましたが、「光階法」とは自分で測定できる最低の光度差(光階値)を使い、比較星と変光星に差がどれくらいあるかを測る方法です。観測を始めた頃は光階値が定まりませんが、慣れてくると「この光度差なら自分は何段階に測定できる。」というものがわかってきます。例えば6.0等と6.4等なら5段階に分けても測定できる、となると、この人の光階値は0.08等となります。

 この値を使って測定する場合、実際には大気の揺れなどで比較星の明るさも変わって見えることもあるので、おおよそ以下の差を目安にします。

光階差0:全く同じに見える。

光階差1:ほとんど同じに見えるが、ときどき一方が明るく見える。

光階差2:一方が明るく見えるときの方が多いが、ときどき同じくらいに見える。

光階差3:一方が明るいとわかるが、ごくまれに同じくらいの光度に見える。

光階値4:明るさの差は明らかだが、その差はあまり大きくない。

光階値5:はっきりと明るさの差がわかる。

 

 まだ慣れていない方は上の光階値が0.1等以下であることに不安を感じ、人間の目でそんなに細かく測定できるとか、と疑問を持つかも知れません。しかし日本変光星研究会の会員に光階値がどれくらいか、と聞いても0.05等から1.0等に集中することから、慣れてくればほぼ正確にこのくらいの光度差を見分けられるようです。

 それから観測誤差がどれくらい許されるか、というのも気になる点だと思います。国内の観測者による報告を見ても、0.5等くらいの範囲にばらつくのは普通のことです。ですから間違った星を観測していなければ大丈夫と思って下さい。

 

(2)観測範囲の拡大

 最初の頃は変光星の導入にも時間がかかりますので、多くの星を観測することはできないでしょう。しかし慣れてくれば導入にかかる時間も短くなりますので、より多くの星を観測できるようになります。また、望遠鏡の口径を大きくしたりすることで暗い星まで観測できるようになりますので、一つの変光星を極小まで観測したり、暗い変光星を観測できるようになります。そんなときは新しい変光星図を手に入れて、どんどん観測する星を増やしていきましょう。

 さらに別の機材を導入して観測することもできます。代表的なものとして写真による記録や新星・超新星のパトロール、光電管による正確な食変光星の観測、冷却CCDを使った観測などです。ここでは詳しく述べませんが、このような機材をお持ちで興味のある人は、5の変光星観測者団体などに問い合わせて下さい。

 

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第5章 変光星観測者団体、および観測報告の連絡先

 

・日本変光星研究会

 関東事務局:〒259-1324 神奈川県秦野市千村211-4 牧口信広方

 富山事務局:〒930ー0832 富山市中冨居50-22 渡辺誠方

 

・日本光電観測者協会(JAPOA)

 〒714-14 岡山県小田郡美星町大倉1723-70 美星天文台内 JAPOA事務局

 

・日本変光星観測者連盟(VSOLJ)

 〒110 東京都台東区上野公園7-20 国立科学博物館 西城恵一方

 

・観測報告連絡先

 〒472-8217 愛知県稲沢市稲沢町前田216-4 広沢憲治

 

 変光星観測者の間ではインターネットの@nifty、パソコン通信のニフティの天文フォーラム(FSPACEO)変光星・新星会議室で情報交換することが多くなってきました。変光星、新星の最新の情報なども掲載されておりますので、@niftyに加入している方はぜひ一度ご覧になってください。

 

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引用・参考文献

 「はじめての変光星観測」日本変光星観測者連盟

 

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