第一話「日本脱出!卒業旅行〜1〜」

 卒業旅行。みなさんは何処にいかれましたか?何処に行くつもりですか?等と妙に偽善的な代理店チックな始まり方で書いてみたが、まあいきなり以下に続く文章を予想できてしまうような、暗黒感たっぷりの書きだしもどうかと思ったんで…。いるかどうかすら定かではない、私の女性ファンとかを逃がしても困るし。地球上にはいなさそうだが…。

 つー訳で何となくダラダラと計画性の片鱗する感じさせないペースで、世にもくだらない、人間界の底辺に生きる人間の情念をツラツラと書き綴っていこうかなぁ…とかなんとかな気分ですわ。

 とりあえず一回目なんで、あまりにもディープなネタを書いてしまったりすると、色々と大人の事情でいかんともしがたい事態になりそうなんで、まあ、そこらへんは様子をみながら反応見て小出しにしていきます。んで、今回のネタは「卒業旅行」をテーマに書いてみたりしますです。別に卒業旅行じゃなくっても私的にはまったく構わないんだけども、思い返してみると、数々の海外旅行の中で比較的マトモな旅行だった気がしたので選んでみました。べつに、今年卒業する人達に少しでも参考になるように…などという考えはミジンコ一匹分も存在しないから安心してくれ。まあ読んだところで、誰も参考にする気など消えうせると思うが。反面教師にしかならんよ、きっと。

 で、私の卒業旅行だが、タイに行ってきましたよ。そう、微笑みの国タイランドです。かなり私には微笑んでくれませんけど。行ったのは8年くらい前の出来事です。もう困るくらい学校に行ってなかった私は自然の摂理に従うかのごとく、当然のように友達はおらず、唯一いたたった一人の友達も、これまでテスト時期が近づいてくると妙に連絡したりとかいう私の友達づきあいの方法にとうとう疑問を持ってしまったらしく、一人でアメリカに行くとか言い出し、普通ならば学生最後の思い出作りに向けてせっせと準備に花咲かせる時期に、私はどうしようもなく孤独に陥ってたんだぜ、ヘイメ〜ン。私の脳みそをどうホジくっても、卒業旅行とかいう通過儀礼のようなムーブメントに参加できそうなナイスなグッアイディアは浮かんできそうになかったので、しかたがないからまた一人で東南アジアでもブラブラしてくっかなぁ〜とかウヘヘ〜とか考えていたところ、違う大学に通う友人、桜井君から一緒に旅行しないかとのオファーがきた。

 ここで少しこの桜井君に関して説明せねばなるまい。彼は私が今までに会った中で、5本の指に入る強烈な人間である。別に何かにつけて強引だったり目がヤバかったり変な汗かいたりする訳ではないのだが、やる事なす事が全て空回りしまくるといった素晴らしい生き様を我々庶民に見せつけてくれ、また彼の頭の中で回っている地球の中心はギャルであり、全ての原動力はそこから生み出される。そのパワーはまさに無限エンジンなみの馬力だが、あそこの会社同様、彼も脱税で逮捕イヤ〜ン!級のエンディングを毎回のように向かえている。いい加減成長してもイイような気がしないでもないんだが、現在でも「バラ色の珍生」並の人生をエンジョイして(いるのはハタから見てる我々なのだが)いる彼を見ると、世の中には変わらないものってあるんだなぁとか悟ったような気分にさせてくれるから不思議だね。

 そんで、まあ私もせっかくだから一人で旅行してもツマらんかなぁとか考え、さらに桜井ウォッチャーとしてこんなにネタが拾えそうなイベントはなさそうだとの観点から、快く承諾。とりあえず慣れてるタイだし、まあイイか…。

 さてはて、一気に話しを進めて、旅行当日。我々は成田エクスプレスに乗るため横浜駅に集合というコトになっていた。でだ、妙にはりきって集合時間ちょい前に到着してしまった私だったのだが、それから何分待とうが肝心の桜井君が来ない。当時は今のように携帯電話だとか便利なプロダクツはなかったので、しかたがないのでこんなクソ朝早くから桜井家にダイヤルしてみますた。ピッポッパッポ…トゥルルルル〜。すると…誰も出ません。ん?こりゃこっちに向かってるのかな?とかなるべく良い方向に解釈してみたが、そんなのお構いなしに時間は過ぎていく。ああ無情。このままでは俺も電車に乗れねーよOi!もう待つコトに時間的にも精神的にも我慢の限界に達した私は、自分の家に電話をして事情を話し受話器を置いた瞬間、猛烈ダッシュでホームに向かった。銀河鉄道999の鉄郎の気持ちが良く解るとはこのコトだとばかりに、マジにギリギリセーフ。私が乗った瞬間、ドアが閉まってました。あのアニメを見るたんびに、毎回乗り遅れそうになる鉄郎に対して、もっと余裕を持って行動しろよとかちょっと説教じみた感想を持っていた私だが、色々と人には事情ってものがあるんだなと少しだけ大人になりました。

 みんなは成田エクスプレスに乗ったコトあるだろうか?あの電車、どういった意図なんだか嫌がらせか知らんが、真ん中でキッチリ分断されており、前車両と後ろ車両は行き来できない仕掛けになっている。私が乗ったのは後ろ車両。で、本来座るべき場所は前車両…。もうこの時点で、私の怒りは沸点に達し、早くも桜井氏に対する憎しみで心は塗りこめられ、もう後はいかに痛めつけるかしか考えてなかった。まさにベルセルク。そういえばと思い出し、電車の中からとりあえず家に電話をしてみると、先ほど桜井君から電話があったらしく、送れるので一本後の電車で向かうから空港で待っててくれと言っていたらしい。ちなみに成田エクスプレスの切符は彼の分も私が持っていたので、速効車掌に訳を話し換金して財布の中に入れておいた。

 そして空港をブラブラしつつ、立ち入り禁止とか書いてあるドアを開けようとして怒られたり、本屋で香港買い物ツアーにでも参加しそうな一生縁のなさそうなギャルの隣で堂々と「週間ポスト」のエロ記事読んだりとか、それなりにアミューズしていると、ついに彼が到着する時間になった。

 成田エクスプレスの出口で鼻くそでもほじりながらボッケ〜と待っていると、おお!ついにやってきました。ん?待て…、どう見てもバックパックのような物を持っているようには見えない。よーく観察してみると、彼の荷物は背中に背負ったリュック一つ。…。ちなみに桜井君にとってはこの旅が初めての海外。旅行も始まっていないこの時点で、既に期待を裏切らない彼の生き様に体の震えを止められなかった私だが、桜井君の真骨頂はこんなもんではない。桜井君も私を発見すると、とにかく低姿勢で歩み寄ってきた。悪い!ほんと〜にゴメンッ!そう言う彼ははたから見ても疲れきっていて、まあ、さすがにコイツも反省してんのかなとか思ってしまった自分が悔しいね。

 「いや〜、昨日急きょ合コンがあってさ。やっぱ海外行く前に日本のギャルも押さえときたいじゃん?で、超粘ったんだけど、ダメでさ〜。しかも俺、その時点で終電なくなってたんだよね」

 …。素晴らしいの一言です。もう一度言いますが、彼にとっては初めての海外旅行ですよ。前日なんだからもっと他にやるコトあんだろ!

 この時点で、彼と旅行するコトに対する自分の認識の甘さをジワジワと感じてしまいました。

 つづく。…って、いまだに日本脱出してませんね。