第二話「そして伝説へ… 卒業旅行〜2〜」

 予想通りというか何というか、まったく更新される気配すら感じさせないコラムになってしまったが、まあこっちも忙しいんだ。はっきり言って、かなりフィードバックのないコーナーなんで、こちらとしても読者がいるのかどうかすら不安になっているので、かなり面倒臭くなってほったらかしになるのは人間として至極当たり前の現象のような気がするよな!許してくれYO!メ〜ン。まあ、どうせ催促もされないと思うし…。などと考えていたら、その刹那!(by アカギ)最近あちらこちらでコラムの熱読者(頼むからこう呼ばさせてくれ)がいることが判明。自分自身も忘れかけていたコーナーだっただけに、これには驚いた

 と、愚痴&言い訳を書き綴ったトコで気を取り直していってみよう。

 前回のペースで我々のワクワク旅行記を書いていると、日本脱出までに簡単に10話くらいのボリュームを使いかねないので、ここは一気に時間を吹っ飛ばしてタイ入国後から話しを進めさせてもらう。まあ、マジかよ!とか思う奴はいないと思うけど。ちなみにタイ入国前にも様々な思い出したくない出来事が起こっているのだが、まあそれは別の機会(あるのか?)にでも話そう。

 で、何とか無事にタイに入国した我々は、初日から謎の中国料理屋で怖い思いしたりとかバッチリと微笑みの国をそれなりにエンジョイしたりしていたのだった。二日目になると桜井君がカオサンロードに行きたいだとか言い出し、しかたがないので私も一緒にカオサンに行くはめになってしまった。いちおう説明しておくと、このカオサンロード、タイではクソ有名な安宿街で、貧乏旅行だとかいうものを実践しようとしているセーガクは必ず一回は泊まるスポットだ。白人率も異様に高く、ただでさえ体臭が臭くウザったい白人共が、何日も洗っていないシャツを、これまた何日もシャワーを浴びていないボデーに装着し、ナチスが聞いたら兵器に採用しそうな殺人ガスを周囲に発散といった危険地帯。いるだけで二、三人は撃ち殺したくなるナイスなプレイスだ。ちなみに、ここでは陽気な白人&セーガクが多い為なのか、笑い声も「アハハ、ウフフ」等とこれまで私が発したコトのない妙な明るさを漂わせており、私は居心地の悪さしか感じず、一度も泊まったコトはない。しかも夜は夜でクソみたいウルセーし。ただ、文句をギャーギャーと喚くパワーだけは満載の白人たちが沢山いるせいか、飯だけはウマいので、ちょこちょこと食べに行ったりはしていた。

 ここにきて、やっと何だかタイな気分に浸れたのか、桜井君は妙にテンションが高い。ひょっとして瞳孔開いてねーよなとか思ったが、正直怖かったので、そこらへんには触れないでおいた。私も大人になりました。桜井君が事前に仕入れたチェキ情報(彼は六本木のタイスキ屋でバイトしていた)をたよりに、お勧めと言われたという宿に向かった我々であったが、途中でしきりに桜井君が「いや〜かなりお勧めらしいよ!」とかいうので、宿に着く前から不安はレッドゾーン。こいつがお勧めというモノにかつてロクなモノはなかった…。そして、とう〜ちゃ〜く!ってここは思いっきり裏道通りなんですけど。しかも…超汚えぇ!カンボジアのポルポト政権下で政治犯として捕まった人達が収容されてました〜とか言われても、思わず納得してしまいそうになるDOPEぶりだ。まあ所詮こんなもんだろと思って、途中から私はあきらめていたが、桜井君はこの時点でどうも現実との折り合いがつかなくなったらしく、よくさぁ美味しんぼとかだと裏道の煤けた店とかが案外穴場だったりすんだよね!と変なコメントを発し、どうにかしてポジティブに受け止めるコトに必至だ。かんばれっ!

 荷物を宿に置き去り、夕方くらいまでは各自ブラブラするコトにして、宿の前の飯屋で数時間後に落ち合うコトに決定。とは言っても、俺は別にするコトもないんで、道端に店をかまえてる屋台とか行って、買う気もない商品を「うへへ〜どうしよっかなぁ〜」とかのらりくらりとダンピングしまくり、そのあげく買わないとかいう時間つぶしを楽しんでました。などと、ノン気にカオサンをエンジョイしていた俺であったが、その頃、桜井君はトンデモない目に遭遇していたのであった。

 あっ!気がつけば待ち合わせ時間だ!と思って飯屋でボッケ〜と待っていたのだが、どうにもこうにも桜井君がなかなか来ない。初めての海外旅行という友達が、待ち合わせ場所に現れない!少しぐらいは焦ってもイイようなシチュエーションのような気もするが、言わしてもらうが、まったく気にしてませんでした。そしてそんな俺の視線30m向こうから、どうもボロ雑巾のような男がフラフラと歩いてくるじゃありませんか!…まさか…な。その男は私の姿を確認すると、凄い勢いで走ってきた。良かった〜帰ってこれたぁぁ!体全体でハフーハフーと息をする桜井君。それを見て思わず喰っていたマッシュポテトをバフーと吹きだすトコだった。はは〜ん、こりゃ何かしでかしやがったなと気づいたんで、とりあえず、水…水!とか言ってる桜井君を強引に宿に連れて帰り、事情を聞くコトにした。しかも、ビデオカメラをバッチリと回しながら(マジです)。

 私と別れた後、桜井君はあてもなくブラブラ歩き、さすがに海外旅行が初めてだっただけに、見るもの全てにオオ!だとかハウッ!だとか過剰に反応し楽しいんでした。と、そこへ一人のタイ人が彼に歩み寄って来た。ハ〜イ!ジャパニーズ?…私であったらこの時点で、ウルセーよバカとか言ってしまうんだろうが、海外バージンな方に特有の「現地の人と交流。私、タイが好きになっちゃいました!」だとかいう甘い幻想を桜井君は持ってしまっていたのだ。桜井君は数ヶ月前から習っていた英会話(キャッチセールスで捕まった)を試したいという思いもあってか、このタイ人と行動するコトに決めた。まあ最初はそれなりに、食い物が美味い店だとかを教えてくれていたのだが、突然、ちょっと俺の店に来ないか?お土産とか安いぜ!とか言い出し、桜井君の同意を得る前に、勝手にトゥクトゥク(三輪バイク)を止め、ヘイ!ハリアッハリアッ!と強引に桜井君を押し込み、運ちゃんにモゴホゴカーとタイ語でゴニョゴニョと言った途端、トゥクトゥクは砂煙をあげカタパルト発進!小さい路地を右に左に爆走し、その間、目印を憶えさせないようにか、タイ人はツバをまき散らしながらマシンガントークを炸裂。カオサンから数10分程走った人気のない道端でトゥクトゥクは急停車。ドガシャ〜ン!地獄へようこそ…。

 (彼のと言っていた)店はいちおう通りに面してはいるものの、窓ガラスは全てスモークがバッチリ貼られていて、普通この時点でダッシュで逃げてもイイ気がするが、正常な判断とかそういうものからは一番遠いところにいる人間は、ノン気にも、結構高級そうな店だなぁとか思ってしまうものらしい。素晴らしい思考ルーチンだなぁ。俺には無理だ。で、店に入ると丁度外からは見えない(もともとがドアは少ししか開かない)位置に、映画とかじゃなきゃ見ることはできなさそうな、文字通り屈強の謎の男が黙して立っていたそうだ。ガガーン!なんだかどうも変な雰囲気だなぁとか思いつつも、タイ人のどうでもいい身の上話だとかを聞いていた桜井君であったが、やおら突然、ところでさ!とタイ人が言ってきた。お前、金儲けしたくねーか?タイで安い宝石を買って、日本でそれを売ればお前はベリーリッチだぜ!とか話し始めた。この時点になってようやく、…騙そうとしてはる(by 京都風)!との最終結論に達した桜井君であったが、逃げようにも入り口には屈強の男が!さあピンチだ。どうする?とりあえずオドオドしたら負けだと考えた彼は、ふ〜ん、でどれくらい儲かんの〜?とか聞いて冷静なフリをしつつ入り口あたりをうかがい、ちょっと待った今外を友達が通った呼んでくる!などとバレバレの嘘をつき、ドアに向かって渾身の猛ダッシュ。背後からヘイ!ヘイ!ウェイトゥッ!とか叫ぶ声が聞こえたが、腕をクロスし顔をガードしつつドガーン!と外に転がりはい出た。店の中からはホンガラモガモガ〜とか訳の分からない怒号が鳴り響き、屈強の男がドアから出ようとしていたが、桜井君は体勢を立て直し一目散に人ゴミの中へと逃げ出した。

 はぁはぁちくしょ〜、あのクソタイ人、俺のコト騙そうとしやがって…と安全エリアに入り安心しつつも悪態をついていた桜井君。ふう〜なんにせよこれで無事に宿に戻れる。のだが、そう間単にコトは運ばない。なんと!彼は自分が泊まっている地域の名前をすっかり忘れてしまったのである。うわ〜どうしよ〜。って、お前がカオサン行きたいっていったんじゃなかったのかよ!忘れんなよ…。途方にくれて道をトボトボと歩いていると、前の方に日本人っぽい女の人が!これを逃したらもう宿には辿り着けない。女の人のもとへ走っていき、一応確認の為に「あの〜日本人ですか?」と聞いてみた。すると女の人に「何人に見えんのよっ!!」と何故かいきなり怒鳴られたそうな。ここでちょっとだけハウ〜としょぼくれそうになったが、とにかく頼みの綱はこの人しかいないので、いや〜実はこれこれこんなコトがあって怖かったんでつい聞いちゃったんスよ〜と事情を説明すると、至極当たり前の感想だと思うが「…バッカじゃないの(超呆れ顔)」とのコメントをプレゼントしてくれた。さらに、自分が泊まってる場所の名前が分からなくて〜とか話すと、彼女の蔑む目つきはレッドゾーン。そこで、こんなヤツ死んじゃえばイイのに…とか彼女が思ったとしても、私は彼女を責められないなぁ、ですよねみなさん。で、アレコレと泊まってる場所の説明をすると、あ〜はいはいカオサンね、と簡単に判明。良かったね、桜井君、これで無事に帰れるよ!

 てな出来事が私と別れた数時間の間に彼の身に降りかかったのであった。さすがにこれから数十日、一緒に旅行をしなくてはならないので、表面上だけでも少しは同情しているフリをした方がイイのかなぁ。つーか、そんな古典的な手に引っ掛かるなよ。しかし、「地球の歩き方」とかに載っている話しを見ても、おいおいこんなのに引っ掛かるバカが地球上にいんのかよ〜とか思っていたが、私の隣にいたとは…。私は、この地球上に桜井君が存在するコトを許したもうた神に感謝するべきなのか?そして全てを話し終えた桜井君が何故かニヤニヤしだした。どうした?脳みそ溶けたか?彼はモゾモゾと自分のポケットから紙切れを出してきた。…。…ま、まさに衝撃!道を教えてもらった女の人に、日本に帰ったらお礼します、ホントです、だから連絡先教えて下さい!マジお願いですと鬼気迫る勢いで拝み倒し、住所&電話番号をゲットしたよ〜どんな時でもチャンスありだよなぁ〜だそうです。神様、ありがとうございます。そして桜井君、光ってる、眩しすぎだよアンタってヤツァ。…今夜は…お前に乾杯。

つづく。…のかなぁ?