憲法第9条

憲法9条、国連憲章、暴力についてのセビリア声明暴力の文化から平和の文化へ21世紀への国連・ユネスコ提言ベトナム戦争自衛隊の行動和解と対話憲法議論 中身重視で参考文献


 憲法9条は、「国際紛争を解決する手段としての武力行使の永久放棄」を掲げています。すなわち武力外交・砲艦外交の放棄です。憲法9条は、「世界平和を希求する」日本の誇りであり、「やわらかき心」を伝統とする日本文化の象徴としてふさわしいものではないでしょうか。
 憲法9条は、日本がベトナム戦争に直接的に協力することの抑止力となっていました。今、米国とベトナムの間で軍人を含む戦争当事者の対話が始まっています。アメリカの武力外交の実態が、次第に明らかになりつつあります。
 武力外交から、「対話」による平和外交へ。21世紀の普遍的な課題ではないでしょうか?
 日本の伝統文化は、仏教の影響が強く、「不殺生」「非暴力」を大切にしてきました。中世以降、武力外交を行ったのは、豊臣秀吉と、廃仏毀釈を行った「大日本帝國」のみです。


国連憲章
第2条3項「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」第4項「すべての加盟国はその国際関係において、武力による威嚇または武力の行使を...慎まなければならない」

暴力についてのセビリア声明平和の土台を準備しよう
 1989年12月16日の第25回ユネスコ総会にて採択
前文 
 私たちはそれぞれの専門分野から、私たち人間という種のもっとも危険で破壊的な活動・暴力と戦争の問題に取り組むことは、私たちの責任であると固く信じます。..
 戦争と暴力を正当化するために行われる科学の学説と資料の誤用は、いまにはじまったことではなく、近代科学の出現以来のことです。たとえば、進化論は戦争だけでなく、人種絶滅、植民地主義、および弱者の抑圧を正当化するために用いられてきました。..
5つの命題
1,私たちは、動物であった私たちの先祖から戦争をする傾向を受けついでいる−という言い方は、科学的に正しくありません
2,戦争あるいはその他の暴力行動は、私たち人間の本姓の中に遺伝的にプログラムされている−という言い方は、科学的に正しくありません。
3,人間の進化の過程では、攻撃行動は他の種類の行動より選択される傾向が強かった−という言い方は、科学的に正しくありません。
4,人間は脳の中に「暴力中枢」をもっている−という言い方は、科学的に正しくありません。
5,戦争は「本能」あるいはなにか単一の動機によって引き起こされる−という言い方は、科学的に正しくありません。


暴力の文化から平和の文化へ21世紀への国連・ユネスコ提言
国連総会決議「平和の文化し関する宣言」(1999年9月13日)
第1条 平和の文化とはつぎにかかげるような価値観、態度、行動の伝統や様式、あるいは生き方のひとまとまりのものである。
(a)教育や対話、協力を通して生命を尊重し、暴力を終わらせ、非暴力を促進し、実践すること
.....
(c)すべての人権と基本的な自由を十分に尊重し、その促進をすること
.....
(g)女性及び男性の平等の権利と機会均等を尊重し、その促進をすること
(h)表現や意見、情報の自由に関するすべての人の権利を尊重し、その促進をすること
(i)社会と国家のあらゆるレベルにおいて、自由、正義、民主主義、寛容、連帯、協力、多元主義、文化的多様性、対話、相互理解という原則を守ること
第2条 平和の文化は、個人、グループ、諸国民のなかで平和の促進に貢献していく価値観、態度、行動様式と生き方を通じて、より十分に発達し続けていくのである
第3条 平和の文化の十分な発達のためには、つぎのことが必要不可欠である
.....
(h)女性のエンパワメントや意志決定のすべての段階で平等な参加を保障することによって女性に対するあらゆる形態の差別をなくすこと
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(l)あらゆる形態の人種主義、人種差別、排外主義とその他の不寛容をなくしていくこと
第4条 あらゆるレベルの教育は平和の文化を建設する主要な手段のひとつである。この観点から、人権教育はとくに重要である。
第5条 政府・自治体は、平和の文化のより豊かな発達に十分に寄与しなければならない。
第6条 メデイアの教育的、情報伝達的役割は、平和の文化の促進に貢献する。
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ベトナム戦争

ベトナム戦争村民殺害を告白前上院議員「今も罪悪感」
 ベトナム戦争中の69年にメコンデルタで米海軍士官として従軍していたボブ・ケリー前米上院議員(57)が先月末「21人の村人を殺害した」と告白した。ケリー氏が04年の有力大統領候補でもあるだけに米国で大きな反響を呼んでいるが、ベトナムでは、「ソンミ虐殺事件」など米軍による数々の虐殺事件に続く新たな事件として改めて「ベトナム戦争の悪夢」が国民の関心を集めている。
 ケリー氏がかかわった虐殺は69年2月25日夜、サイゴン(現ホーチミン市)から南約80キロの穀倉地帯ベンチエ省タインフォン村で起きた。ケリー氏は海軍中尉で6人の部下と共に解放戦線ゲリラの掃討作戦をしていたが、ゲリラ側の発砲を受けて応戦し、女性や老人、子供21人を射殺したという。
 ケリー氏は「ゲリラ兵士を殺害したとばかり思っていたが、あとになって民間人だと知った。今も罪悪感にさいなまれている」と言っている。
 ケリ−氏の告白が米メデイアによって報道されたあと、ベトナムの共産党機関紙ニャンザンは3日、「ケリ−氏の告白は軍が犯した誤りと罪に対する良心のかしゃくを示した」と論評した。
 また3日、ハノイで記者会見したファン・トウイ・タン外務省報道官は、「ケリー氏の虐殺事件で村民がこうむった被害は甚大だが、ベトナムは伝統的に和解と寛容の精神を持っている」として米側に補償を要求する考えはないと表明した。(朝日新聞2001年5月4日)

(参考)
1,「我々はなぜ戦争をしたのか米国・ベトナム 敵との対話」東 大作、岩波書店、2000


自衛隊の行動

 憲法9条の「国際紛争を解決する手段としての武力行使の永久放棄」のもと、自衛隊の行動は、「外部からの武力攻撃にたいする防衛行動」などに限定されています。武力行使は、「緊急避難的」な政策であり、いつでも行使可能な外交政策の選択肢の一つにすることを憲法9条は禁じています。
 地雷廃絶など、武器を無くす運動が、国境を越えて、市民の協力ですすめられています。
 憲法9条は、「軍縮」をめざす世界各地の市民の、平和運動のシンボルになっています。自国の政府に、日本の憲法9条のような、規定を設けるよう働きかけています。
 軍縮をすすめていく上で、憲法9条のような「外交政策としての武力行使の禁止」規定は、きわめて現実的な方法と言えるのではないでしょうか?

(参考)自衛隊法
第6章 自衛隊の行動
第76条<防衛出動>内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛する必要があると認める場合には国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命じることができる。
第7章 自衛隊の権限
第88条<防衛出動時の武力行使>
@第76条1項の規定により出動を命じられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。
A前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする

和解と対話

歴史的な謝罪表明ギリシャで法王(中国新聞、2001年5月6日)
 1054年の東西キリスト教会分裂確定以来、約千年ぶりにギリシャを訪問したローマ法王パウロ2世は4日、正教徒に対するカトリック教徒の罪の許しを求めた。分裂したキリスト教各派の和解と各宗教間の対話促進を重要戦略とする法王が、東方正教会との和解に大きな一歩を踏み出した歴史的声明といえる。
 法王はアテネでギリシャ正教会の最高指導者フリストドウロス大主教を表敬訪問。「正教会の兄弟姉妹に対するカトリック教徒の罪に神の許しをこう」と述べ、東方正教会の本拠地だったコンスタンテイノポリス(現イスタンブール)に対する1204年の十字軍の略奪・破壊に触れ、「カトリック教徒は深く悲しんでいる」と伝えた。

憲法議論 中身重視で
日本国憲法起草にかかわったベアテ・シロタ・ゴードンさん
 
「女性の人権を条文に盛り込むかどうかは、天皇制をどうするかと同じほど激しい議論があった」日本国憲法の起草にかかわったベアテ・シロタ・ゴードンさん(78)=米国在住=は大田市の講演会で語った。ゴードンさんはオーストリア生まれ。幼少期を日本で過ごし、アメリカに留学。1945年、GHQ(連合国軍総司令部)民政局スタッフとして来日した。
 「日本国憲法は米国の押しつけだ」という主張にこう反論する。「押しつけとは、悪い物の場合に使う。アメリカの憲法には、戦争放棄、女性の人権の条文はない。だれが作ったかは問題ではない。中身が大切」(中国新聞、2001年5月21日より)

(参考)
1,「21世紀の世界と平和を考える2国連憲章・国際法を学ぼう平和・戦争・人道とその理念」平和・国際教育研究会編、平和文化、2001
2,「平和学の現在」岡本三夫・横山正樹編、法律文化社、1999
3,「平和的手段による紛争の転換−超越法−」ヨハン・ガルトウング、平和文化、2000
     国連危機環境訓練構想(CETI)、国連災害管理訓練プログラム(DMPT)マニュアル
4,「永久平和のために」カント、岩波文庫、1985
5,「暴力についてのセビリア声明−戦争は人間の本能か−」ユネスコ、平和文化、1996
6,「暴力の文化から平和の文化へ21世紀への国連・ユネスコ提言平和の文化をきずく会編、平和文化、2000
7,「共生へのプログラム−人間・教育・宗教−」甘露の会編、平和文化、1997