益田市の高齢者実態調査の集計結果をみて思うこと
調査結果の集計をみて感じたことをのべます。話し合いたいと思います。
益田市におけるニーズ、家庭構成、生活状況、介護者、生活の上で困ること、相談機関、サービスについて、介護者の負担
「高齢者の自立支援」、「介護の社会化」を目的として介護保険が来年4月出発します。
介護保険給付は、高齢者のニーズすべてに答えるには、まだ不十分(特に痴呆について)であることは、介護保険の立案者である厚生省の担当者自身が講演会でのべておられました。「これをたたき台にして、よいものをつくっていこう」、という問題提起をされました。介護保険の運用に終わってはいけない、ニーズに対して、「それは介護保険ではできるが、それは駄目です」という形にならないようにという指摘もありました。
今回の高齢者実態調査は、高齢当事者のニーズを、しっかり把握し、それにどう答えていくのか、考えてほしい、という意味でなされたのではないでしょうか?
| 1)高齢当事者のニーズはなにか 2)介護保険で、どこまで対応できるか 3)介護保険で対応できないニーズにどう答えていくのか |
このような形で、話し合いがすすめられていくことが大切だと思います。
まずは、共感をもってニーズを受け止めることができるか、どうかです。それがなければ、ニーズに答えていこうという意欲はわいてきません。
介護保険で対応できないニーズについては、幅広く、市民の智慧を集めることが大切だと思います。一人の力は、限られています。担当者まかせでは、担当者が燃え尽きてしまいます。行政と市民が協働しなければ、高齢当事者のニーズに答えることは無理だと思います。
| 介護保険制度の意義厚生省・介護保険の手引きより 利用者本位の制度 高齢者自身がサービスを選択できる 介護サービスは、個々の利用者の個別性を尊重し、高齢者の立場にたって行う |
地域で生活する要援護者の「自己決定」を促進し、「生活の質」を高めることを目標にしています。
「どのようなサービスが必要ですか」(サービス志向)から、「どのようなことでお困りですか」(ニーズ志向)へ
(参考)
1,「介護保険の手引き」厚生省老人保健福祉局 介護保険制度施行準備室、ぎょうせい、1998
2,「ケアマネジメント ハンドブック」白澤政和、医学書院、1998
益田市におけるニーズ
| 調査対象 一般(65才以上で入院・入所しておられず在宅サービスを受けたことのない方) 9283人 在宅(何らかの在宅サービスを受けている又は受けたことのある方および必要な方) 1260人(一般のうち在宅サービスの必要な128人を含む) |
| ひとり暮らし 一般 963人(10.4%)、在宅 315人(25.0%) 配偶者と二人暮らし 一般 3338人(36.0%)、在宅 230人(18.3%) 配偶者以外の満65才以上の方だけと同居 一般 268人(2.5%)、在宅 36人(2.9%) |
→ ひとり暮らしの高齢者をどう支えていくのか?高齢者の二人暮らしをどう支えていくのか?このような視点での総合的なケアが求められている。
(一般)
| 外出が一人ではできない 259人(2.8%)
家の中でも誰かの介護は必要 110人(1.2%) 排泄・食事・着替えの介護が必要 38人(0.4%) |
(在宅)
| 歩行に介助を必要とする方 418人(33.1%)
食事介護が必要 194人(15.4%) 排泄介護が必要 289人(22.9%) 入浴介護が必要 469人(37.3%) 着替え介護が必要 382人(30.3%) 洗顔・歯みがき・ひげそりの介護が必要 298人(23.7%) |
→ どう支えていくのか?24時間介護の体制をとっている市町村もある。介護サービスをどう提供していけば、高齢当事者が、その人らしく生活していけるのか?ケースの具体的な検討が必要だと思う。どんな状況?当事者はどう感じているか?介護者はどう感じているか?
→ガイドヘルパーをどう保障していくのか?ガイドヘルパーがいれば望むときに外出することができ、閉じこもりや寝たきりの予防になる。
→移動用バー、ベッドと同じ高さの室内トイレの使用で排泄の自立が可能になる人もおられる。排泄が自立すると、他の面でも意欲が出てくる。排泄補助具(近視の人のめがねのようなものだと考えていただきたい)の使用を積極的にすすめていくべきだろう。
→体が不自由になると入りにくい構造になっている場合も多い。手すりをつけるなどの工夫や、お風呂を作る時に、将来を考えて設計士や建築メーカーが助言するような形を作っていくことも大切と思われる。
高齢当事者の状況
(1)身体的状況
| バスを使って外出 403人(32.6%)
隣近所へ外出 240人(19.4) 介助があれば外出 200人(16.2%) 寝たり起きたり 118人(9.6%) 自力で車いす・排泄自立 69人(5.6%) 介助で車いす 81人(6.6%) 自力で寝返り 38人(3.1%) 介助で寝返り 75人(6.1%) |
(2)知的判断状況
| 多少障害はあっても、ほぼ自立 145人(11.7%)
誰かの見守りあれば、家庭外でも、ほぼ自立 28人(2.3%) 誰かの見守りあれば、家庭内でほぼ自立 69人(5.6%) 日中主体の介護が必要 36人(2.9%) 夜間主体の介護が必要 18人(1.4%) 常に介護が必要 73人(5.9%) 要医療 15人(1.2%) |
1)介護が必要な高齢者における介護者の有無
| 介護者 いる 837人(65.4%) いない 416人(33.0%) |
→介護者がいれば、それでよいか?家族介護による介護者の負担、虐待、廃用症候群の発生の実態に深く学ぶ必要がある。
2)介護者の年齢
| 65才以上 386人(43.7%) |
→高齢者が高齢者をみるという「老老介護」が40%を越えている。
4,不安に思うこと(一般)
| ひとりになること 546人(6.3%) |
→ ひとり暮らしに対するサポートをどうしていくのか?ひとり暮らしへの準備研修が必要ではないか?男性の食事つくり、女性の電気器具の簡単な修理とか。
安心して楽しくひとり暮らしできるまちづくりを。
〔一般〕
主なもの2つで答えさせている。しぼらせずに聞くべきではなかったか?ニーズ把握の上では、そうするほうがよかったように思う。人は多様なニーズを抱えて生活しているのだから。
| 1)食事づくり 843人(7.5%)
→このうち男性は、何人でしょうか?また年齢構成は? 必要なのは、配食サービスか、食事づくり実習か 2)段差などがあり住宅が使いにくい 320人(2.9%) → 転倒して骨折する高齢者は、多い。益田における転倒の実態調査はあるか? どのようにすればバリアフリーの住宅ができるか? 3)土地、家屋、山林などの管理が大変 1118人(10.0%)→ 高齢になると判断力、行動力も鈍る。成年後見制度の必要性が、ここにも現れている。益田では、成年後見制度を、どうしていくのか? 4)買い物、交通、医療機関 ・買い物が不便 1024人(9.1%) → 地域性があるか?注文・配達・移動販売などはあるのか?そういうサービスを、高齢者に情報提供できているか? ・公共交通機関が不便 679人(6.1%) → 地域性があるか?解決法についてバス会社などと話し合うことも必要では? ・病院や診療所が遠い 1426人(12.7%) → 地域性があるか?5)近所に親しい人がいない 487人(4.3%) →新しい友達つくりの場をどう提供していくか? 6) 働く場・仕事がない 526人(4.7%) →なぜ働く場や仕事を求めておられるのだろうか?生活のため?生き甲斐として? 理由によって対策も少し異なるように思う。 7)収入が少なく生活が苦しい 1218人(10.9%) → こういう方からも、介護保険料をいただくことになる。年金生活の実態はどうなっているのか? 介護保険料の減額は? |
〔在宅〕
1,住宅で不便な所(バリアー)
| 玄関周りの段差 207人(12.6%)
廊下や居室などな段差 144人(8.8%) 屋内の階段の昇り降り 96人(5.9%) 風呂や風呂場が使いにくい 196人(12.0%) トイレが使いにくい 147人(9.0%) |
2,困っていること(主なもの2つを選ぶ)
| 車いすを利用してでも外出したいが、介助者がいない 69人(5.1%)
ベッド上の生活でも、趣味などの生き甲斐をもちたいが教えてくれる人がいない 14人(1.0%) 話相手がなく孤独である 194人(14.3%) 食事・排泄・身の回りの世話が家族では十分にしてもらえない 44人(3.2%) |
→ 高齢になると身近な人がなくなられる。話相手がいなくなる。新たな友達つくりの場をつくっていくこと。高齢者の話をじっくり聞く人と、高齢当事者の出会いの機会をつくっていくこと。高齢になると耳が聞こえにくくなるなど、コミュニケーションをとるのが難しくなるため、家族の中にいても、話相手がなくて孤独ということがある。個々のケースに応じた「孤独」に対する援助が創意工夫される必要がある。
健康と生活(福祉)は分けて聞くべきだった。健康というから医療機関が多くなった。生活で困ることを医師に相談する人もおられるが、そうでないことは少ないように思う。
健康・医療についての相談と介護・生活についての相談は相手を使い分けているのではないだろうか。介護保険についての調査であり、健康と介護・生活は分けて考えることが大切だと思う。今後の調査については、そういう視点を大切にしてほしい。
その分、主なもの2つということもあって、在宅介護支援センターは140人(1.0%)となっている。
〔一般〕
知らない高齢者の方が多い。この実態をどう受け止めるのか?知らない高齢者の方が悪いのか?今までのような情報サービスでよいのか?
サービスについて、具体的にどう実現をはかっていくのか?
| 仕事の紹介
医療機関や商店などへの送迎サービス 食料品などのに日用品の配達サービス 庭の手入れ、家屋の修繕などのサービス 散髪などの出張サービス 安否確認などのサービス 配食サービス |
〔在宅〕
| ・訪問リハビリ
知っている 331人 知らない 915人 |
→地域リハビリ・生活リハビリの視点での援助が大切
| ・痴呆性老人グループホーム
知っている 173人 知らない 1065人 |
→今後、グループホームは不可欠、具体的に、どうしていくのか?
| (1)介護そのものが負担
入浴・食事・排泄など日常生活の世話 236人 高齢当事者が同じことを繰り返し話す(たずねる) 101人 高齢当事者が、今までできた作業にミスが目立つ 51人 (2)介護者の健康が損なわれる 夜起こされることが多く、眠れない 107人 心身が疲れる、健康を害する 209人 自分の体の具合が悪いとき医者にかかれない 95人 健診、健康相談など地域の保健活動に参加できない 65人 (3)介護者の普通の日常生活が困難になる 買い物などで外出したくてもできない。自分の時間がもてない 127人ほかの家族の世話ができない 26人 (4)社会的交流ができなくなる 近所の人と交流できない 65人 老人会、文化祭、運動会など地域の催し物に参加できない 109人 (5)介護の仕方がわからない 37人 (6)経済的負担が大きい 78人 |
→これらの課題を解決していくには、どうしたらいいのか?実態に基づく検討が必要。