りとぱ最終話
<トースト=通学時のラッキーアイテム?>
「こらぁ〜、さっさとおきるにゃ〜。」
ガバッ!
「うおっ!」
勢い良く俺の布団がめくり上げられ、俺は慌てて目を覚ました…。
「あれっ、あれっ?」
突然の出来事に慌てふためく。
「あれ?ここはどこだ?あれ?」
「また、じぶんにつごうのいい夢をみてたにゃぁ?」
「うっ。」
図星だった。
見事に的中だった。
「はやくしないと学校におくれるにゃ。」
「おっと、やべぇ!」
いつもより寝すぎたらしく、時間がピンチだった。
「くそぉ、時間がねぇ。必殺、界王拳3倍だぁ〜!!!」
トイレで用を足し〜の。
適当に歯を磨き〜の。
寝巻きをポイポイと脱ぎ〜の。
学生服に着替え〜の。
机の上のトーストを咥えつつ玄関を開ける。
「ふぅ、朝日が眩しいぜ…。」
「ゆ〜すけ〜、じかん〜。」
「おう、わかってらい。じゃぁ行ってくるから留守番頼んだぞ!」
「らじゃぁ〜。」
なんだか頼りない返事を後に、俺は家を飛び出した…。
タッ、タッ、タッ、タッ…。
通学路を駆けぬけてゆく、トースト(通学時のラッキーアイテム)を咥えながら…。
「くそ、うまく食えねえぞ!」
ドラマや漫画の矛盾を実感する。
「さらにこの後、かわいい女のコに激突するのか?」
俺は夢見る青少年だ。
いーじゃねーか、いっつも酷い目に会ってるんだからよ。
これぐらいの夢を見ても。
「って、何を呟いてんだか。ははっ。」
一人問答もそこそこに、学校への最終コーナーを二足ドリフトで駆けぬけてゆく…。
はずだった。
どかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
見事にぶつかった。
そりゃーもう、見事というしかないぐらいのタイミングだったんだ。
「きゃっ。」
「ごわっ。」
俺は咥えていたトーストを吹き出しながら、見事に倒れこむ。
むっ、相手は可愛い声だったぞ?
大きな希望で体の痛みを紛らわせながら、相手の方向を凝視する。
「うっ、やっちまった…。」
そう呟くしかなかった…。
俺は死を覚悟したんだ…。
ぶつかった相手は委員長だったんだ…。
委員長と平和的かつ友好的に話し合いを終わらせ、教室へ続く廊下を突っ走る。
(ぶつかった時の衝撃よりも強い衝撃を脳天に頂いたが…。)
「くそっ、ポコポコ殴るなっての。俺は木魚か。」
教室が目の前に迫ってくる。
(よし、間に合った!)
そう確信し、教室へ飛びこんだ瞬間…。
どかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
本日2度目のクラッシュ…。
「きゃっ。」
「ぐはっ。」
油断していたので、かなりのダメージをくらった。
お互いに…。
(昼休み)
「なぁ、ごめんって言ってるだろぉ?」
「……………。」
朝から何回言ったかわからない、このセリフ。
「隣に塀ができたんだって、へぇ〜。」
「……………。」
とっておきの古典ギャグも通用しないか…。
「君の心はガラスのように繊細だね…。」
「……………。」
くっ、カ○ル君作戦もダメか…。
こうなったら、最後の手段だ。
俺は核ミサイル発射のスイッチを押す…。
「俺は、冬川さんのことが大好きだぁーーーーーーーーーーーーー!!!」
精一杯の音量で叫んでみた。
「……………………………………………。」
騒がしかった教室が一気に沈黙する。
俺達に皆の視線が集中する。
ガタッ
沈黙を破ったのは冬川さんが椅子から立ちあがった音だった。
そしてそのまま俺の腕を掴む。
そしてそのまま引きずられていく。
そしてそのまま廊下に連れていかれる。
そしてそのまま中庭に連れていかれる…。
気が付くとそこは中庭だったんだ。
「徳永くん、冗談でもああいう事を言うのは止めてください。」
開口一番それだった。
「だってさぁ…。」
「言い訳は却下します。」
俺の言い訳は、する前に断られた。
「いいですか?そもそもあなたは…。」
くどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくどくど(以下略)…。
昼休み終了時間一杯まで説教した後、冬川さんは戻っていった…。
俺は中庭に一人残され、疲れた表情でため息を吐き出す。
「ふぅ、あながち冗談でもないんだけどなぁ…。」
直接言えない本音を漏らす。
空は青かった…。
雲は流れ、風は穏やかだった…。
太陽だけが俺を慰めてくれたんだ…。
「うーん、青春よねぇ。」
「うおっ!」
知らないうちに委員長が背後に立っていた。
「この俺に気配を読ませぬとは只者ではない。貴様の拳は暗殺拳か?」
「何をわけわかんないこと言ってるのよ。」
くっ、委員長はノリが悪いぜ…。
「じゃぁな、俺は行くぜ。」
今朝のこともあるし、今は委員長とは話したくない気分だ。
「あっ、ちょっとぉ。」
呼びとめる委員長を無視して俺は校舎へと戻った…。
「もう、やっぱりダメダメ君ねぇ…。情けないわね。そう思うでしょ?」
中庭端の草むらに向かって話しかける委員長。
「そうね〜、私もそう思うわ〜。って覗いてるのバレてたの〜?」
「ふん、あんたの行動ぐらいお見通しよ。それにしてもお互い苦労するわね。」
「そうねぇ〜。作戦の変更が必要じゃない〜?」
「かもね。考えておくわ。じゃぁ、私もそろそろ戻るとするかねぇ…。」
「あ、年寄りくさいよ〜。」
「うっさいわねぇ!仕方無いでしょ!!!」
中庭で会話する、委員長と謎の影。
俺の知らないところで暗躍する、委員長と謎の影。
この会話の意味を知るのは、ずっと後のことになる。
その時の俺は何も知らなかったんだ…。
そう、何も…。
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