矯正歯科とダイエット

もう10年以上前になると思いますが、作家の林真理子さんが、矯正治療がダイエットに
絶大の効果があったというお話をエッセイにされていました。
成人の矯正治療はマルチブラケットという装置で行うのが普通で、月に一度程度矯調整を
行うのですが、調整を行った後、数時間後から、食べものをかむ時に鈍痛が発生します。
これには個人差があって、あまり痛みを感じない人もいれば、かなり痛みを感じる人もいます。
林真理子さんは、この痛みのおかげで、あまり食べなくなったと書いています。それがダイエット
に大いに役立ったと書いています。

たしかに歯が動く痛みがダイエットに役にたったと言うのは、林真理子さんにとって、とても幸いな
ことだったに違いありません。そして、当時、ダイエットを志していた女性たち(もしかしたら男性も?)
が、半分ダイエットを意識して、矯正治療を始めました。これは、結果的に、矯正治療を始められた
人たちに、大きな健康をもたらしたと思います。そういう意味で、林真理子さんは歯科的にも全身
健康的にも、とても偉大な仕事をされたと思います。

さてしかし、私は1矯正歯科医として、このダイエット法は半分落とし穴があると思います。どういうことかと
いえば、歯が動く痛みがあったから食べなくなったというのは、あまり噛まなくなるという意味で、これは
矯正治療中に噛むと痛いときには、ある程度やむを得ないのですが、歯が動く痛みがなくなったならば、
積極的に噛む姿勢が必要なのです。あまり噛まないこと、食べないことがダイエットになったというふうに
直接結びつけないで、痛みが引いたら積極的に噛むこともしっかり意識しないといけません。

歯は噛む機能のために存在する人間の器官ですから、基本的にはたくさん使うに越したことはないの
です。これは矯正治療中も、矯正をしていない期間と同様大事なことなのです。

矯正治療中に噛む刺激が大切なのは、虫歯の予防と歯周病予防に、噛むことが絶大な効果を
発揮するからです。矯正治療中は口の中が不潔になりやすくなります。口の中をきれいにすることで、
歯磨きがとても大切になることはもちろんですが、噛むことが歯磨き以上に大切であることは、まだまだ
周知されていないと思います。噛むことには、歯磨き以上に、口の中をきれいにする効果があるのです。
(私は自分で勝手に、これを噛ミガキと称しています。良い言葉だと思いませんか?)

ダイエットと噛むことをもう少しつっこめば、噛むことが食事の総量を少なくしてくれる役目を果たします。
人間の体には満腹中枢という、おなかがいっぱいになったと感じる神経系があって、これはたくさん噛む
ことによって刺激されるのです。ですから、この満腹中枢を意識して噛むことが、ダイエットを志す人には
大切だと言えるでしょう。

矯正歯科とダイエットということに関しては、まだまだ語らなければいけないことがたくさんありますが、
それは後ほど続けたいと思います。私は20年間65キロで変わらなかった体重を、ここ1年で56キロに
落しました。このことに関しては後日追加いたします。すべてが矯正歯科を生業にしたおかげで可能
だったことです。



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