
既に一通り基礎はでき演奏活動をしている人のためのワンランクアップ講座ということで
音楽の友社刊の「バンドジャーナル」に1999年〜2000年バッシッシモが連載した
僕のコーナーを出版社の許可を得てそのまま掲載しています。
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さて今月は「大きくて豊かな音を出す椏チ訓法」です。ブラスバンドでは管楽器のパワーにかき消されてしまうことが多いので大きな音を出したいと思うようになりますよね。でも大きな音ってどういう音でしょう?アンサンブルの中でもゴリゴリ、ブリブリ?!と音の粒が一つ一つ全部はっきり聞こえてくることでしょうか。もちろんそれも大事な要素のひとつではありますがそれだけではありませんよ。皆さんは客席で合奏にコントラバスが加わっていないときと加わったときの違いに注意して、全体の響きを聴いてみたことがありますか?よく注意すればコントラバスが加わったとたんに全体の厚みが増すことに気が付きます。コントラバスだけが浮き立ってはっきり聞こえて来るのではないんだけれども「ボーッ」とか「オーーッ」とかいう言葉でしか表現できない横に広がる響きで全体の響きの厚みを分厚いものに変えているのです。ということはコントラバスの場合この「オーーッ」をできるだけたくさん出すことも大きな音を出すためには非常に大切なわけです。文章を読むときの発音一つ一つに例えると「オーーッ」はア・イ・ウ・エ・オという母音の部分。ゴリゴリ・ブリブリがG・B・K・S・・・という子音の部分や声の張り・芯の堅さにたとえられるでしょうか。この両方をバランス良くたっぷり出すこと。これが最初に言った「大きくて、豊かな音」なのです。わかりましたか? フォルテのために力を込めてブリブリ弾く事は割りとわかりやすいのですが、この「オーーッ」をたっぷり出す事は合奏全体の音の厚みに影響しますからもっともっと大事にしなければなりません。では一体どうしたらその「オーーッ」が出せているかどうか自分で確かめられるでしょう。一番分かり易いのは「目で見て確かめる!」という方法。弦が出来るだけ幅広く振動するように目で見ながら弾くというわけです。また楽器に触れている「おなか」に振動が伝わってきますからそれででも楽器がよく鳴っているかどうかは判断できますよ。大きな音が出せているかどうかは耳だけじゃなく「目」と「おなか」で確かめましょう! でも実際どうすれば「オーーッ」を上手に出せるのでしょう?弦をムダなく振動させるには1)弓で弾く場所(駒からどれくらいの所)2)弓の量(弓の速度)3)圧力という3つの要素が大切になってきます。この中の「弾く場所」のことを「サウンドポイント」と言います。写真はどの場所を弓で弾くかを示したものですが、(A)は指板の端から上方約4センチくらいの所(B)が指板の端の真上(C)はちょうど指板の端と駒の中間、最後(D)が駒から約4センチくらいの所。
今回はこの4つのサウンドポイントでの弓の量・圧力を徹底的に研究します。まず最初に次の譜例の初めを(A)の位置で弓を20〜30センチくらい使ってなるだけ弦が大きく横に振れるように弾いてみましょう。
(A)だと圧力はうんと軽くし弓を早くたくさん使わないと弦は大きく振動しませんね。逆に(D)だとうんと圧力を加え速度を遅く弓の量を少なくしないと弦は大きく振動しません。このようにしてA,B,C,Dそれぞれのポイントで圧力を増やしたり減らしたり、速度を早くしたり遅くしたり、量を加減したり・・と色々試してどんな組み合わせが最も弦の振幅を大きくするか耳を澄ましてよく聞き、また目とおなかでも確かめましょう。D線でうまくできるようになったらG線A線E線でも、また弓先・弓元でも同じ事をしてみます。特にサウンドポイント(D)では右手が固くなり易いですから、弓を返す時に弓の棹に触れている指(親指・人差し指・中指)が固く硬直しないようできる限り柔らかく保ち弦の振動を弱めないよう気をつけましょうね。丁寧に弾こうとするあまり弓の返しの時に速度が遅くなったり圧力を抜いたりすると2番のように中ぶくらみの音になってしまいますから、1番のようなストレートな音になるように注意します。サウンドポイント(A)で弾くと音は少しうつろな芯のない音、でも最初に言った「オーーッ」の多い音。逆に(D)だと固くて芯のハッキリした「オーーッ」よりも「ゴリゴリ、ブリブリ」の多い音になりますね。どちらでも弦を最大限に振動させること(楽器のボディを鳴らす)を第一目標にしましょう。あとは曲の中でその場所にぴったり来る方を選べばいいわけです。 ここまで来て何か大事なことに気づきませんでしたか?そうです!サウンドポイントを極めようとしたら「弦に直角に弾く正確なボーイング」ができないとサウンドポイントはコントロールできないのです。さあ来月はそれを極める事にしましょう!「全弓を使いきる椏チ訓法」! |
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皆さん今日は。ところで弦楽器の中でコントラバスの弓が一番短いのは知っていましたか?ヴァイオリンの弓が一番長くて毛の部分が66CM。ヴァイオリン本体の長さよりも長いんです。コントラバスはずっと短くて55CM。本体がだいたい180CMくらいですから本来なら2Mの弓!で弾かなければならないわけで比率で考えるとヴァイオリンを17CMの弓で弾くようなもの。ヴァイオリニストが弓をたくさん使って出す勢いのある音などコントラバスで出そうとしてその短い弓を全部使いきっても同じようには弾けないことがわかりますね。全員でフォルテの和音を弾くときや、マーチなどで勢いのある元気な音を出したいときなど弓をたくさん使って音に勢いをつけなければ、バスが他のパートを足を引っ張ることになります。ただ全弓を無理に使ってもきれいに真っ直ぐ使えなければ乱暴になり楽器は鳴らずにノイズが出るだけです。 そこで今月は「全弓を使いきる椏チ訓法」まずは弦に直角に弾くことを体で覚えます。鏡を使っての楽器の構え方のチェックが絶対必要です。サウンドポイントは前回の(B指板の端)でやってみましょう。体を自然にして立ち右腕を楽に真っ直ぐ伸ばして弓がこの位置にくるようにエンドピンの長さを調節しておきます。さあ鏡を見ながら弓(毛)の両端で正確に直角に構えてみましょう。この時楽器は鏡に映った姿で言うと少し右に傾いていますから、弓も少し右下がりに見えていないと弦に直角ではありませんから気をつけましょうね。 (A)まず弓の先をD線に載せてみます。腕・肘ともに自然に真っ直ぐに伸ばし体も真っ直ぐにします。左手はここでは使いませんからネックの付け根で楽器を支えていても良いですね。鏡で弓が直角になっていることを確認できたら、その時の体の状態(腕はどんな感じでどこに、手首は、手のひらは、指先は?)全ての感覚をチェックしてその場所を覚えます。弓を一旦弦から1〜2センチ浮かせそのまま元弓の方へ静かに移動し(アップの動きですが弓は空中を移動するので音は出ません)弓元の毛の端に来たら一度弓を弦に載せ正確に直角に置けているかどうか目で確認。弓元でも先ほどと同じように体の状態をチェックしてその場所を覚えます。そしてこの動作を静かに繰り返します。弓はちょうどカーテンレールの中をスライドさせるようにぶれないように一直線になめらかに移動させます。途中弓が震えたり、ふらふらするのは弓を持つ右手に力が入りすぎているか指の当て方がちゃんとしていなくて不安定になっているからですから、もう一度チェックし直しましょう。 ゆっくり移動する事がうまくできるようになったら今度は弓を軽く挙げた後、出来る限り素早く移動する練習(B)をやってみましょう。今度も同じように弓がぶれないように注意します。移動中これ以上力を抜いたら弓を落としてしまうというところまで右手の力を抜いてごくごく軽く弓を持つことと、右肘・手首を大きく動かし過ぎないことが大事なポイントです。僕は目をつぶっていてもピタッと毛の端で直角に止められますよ!
これが安定した動きで正確に出来るようになったら今度はいよいよ音を出しての練習(C)。動きは今までの(A)(B)と同じですが弓先・弓元で譜例のようにアップ・ダウン両方で音を出してみます。この時元と先で音の大きさが変わらないように気をつけましょうね。どうですか?弓先ではどうしても音が出にくいですね。例えば右肘を内側に(時計と逆まわり)少し回転させて親指に圧力をかけ弓先に伝えるなど色々な工夫が必要です。(C)ではどの音も同じ強さ・発音になるように気をつけましょう。 そしていよいよ元気良く勢いのある音を全弓で出す練習(D)。サウンドポイントは前回の(A指板の上)で弾きます。ここでフォルテを出すには圧力は少なく・弓の量は多く・・でしたね。弓はふらつかずに正確に同じ場所を弾けていますか?音は中ぶくらみにならずストレートに聞こえますか?箱は鳴らせていますか? |
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