3−3 味わいのチェック・ポイント
味覚の鑑定には、 口当たり、 口中香、味わい、 後味の余韻、の4段階に分類されます。関連として、飲用適温、相性の良い料理、等があるでしょう。
口当たり(タッチ)
口当たりには、ヴォリュ−ム感などの第一印象に関する部分と、舌触りのバランスの部分が考えられます。
フランスで使われる表現を紹介します。
| 固い | 可 | 熟成型のワインのまだ若すぎるとき |
| 粗い | 悪 | 過度の苦味 |
| どろどろした | 悪 | エキス分過多 |
| 柔らかい | 良 | 熟成した味 |
| 葉のような | 良 | 繊細だが少し弱い |
| 舌を刺す | 悪 | 酸化して酢のようになったとき |
| たくましい | 良 | ヴォリュ−ムのおおきい |
| しなやかな | 良 | 強く、柔らかい味 |
| ビロ−ドの | 特良 | 滑らかで上品 |
| 脂の乗った | 特良 | ヴォリュ−ムがあって柔らかい |
| 絹のような | 最良 | きめが細かく繊細でありながら気品に満ちて力強い |
口中香
これは、ワインを口に含んだときに、口をすぼめて空気を吸い込み、口中でワインと空気を混ぜるように、「ズズズッ」と音を立てて吸い込むようにするのです。これは決して不作法なことではありません。遠慮なく、堂々とやって下さい。すると、ワインの香気を含んだ空気が口中にたまり、口の奥を通って鼻腔の後ろの部分に到達して、匂いがわかります。鼻から嗅いだものとまた違った香りが発見できます。
一般には「5回吸い込め」、といわれています。
口中香、という堅苦しい言葉よりも、“レトロオルフェクション”というフランス語のほうが、かっこいいかもしれません。
味わい
舌の全ての部分が、全ての味覚を感知するわけではありません。
甘味は舌の先、塩味はやや後ろの横側、酸味は両脇、苦味は奥の部分です。
白ワインとロゼワインの場合は、酸味と甘味が中心になっています。
赤ワインでは、酸味、甘味、苦味、の三角形で考えます。
後味の余韻
偉大なワインの大切な要素の一つに、この味の持続力を忘れてはいけません。
ワインを飲んだ後に依然として口の中に残る味わいと香りは、そのワインが偉大であるほど長くなります。この時間の単位にフランス人は、“コ−ダリ−”という奇麗な名前をつけました。1コ−ダリ−は1秒です。偉大なワインはこの“コ−ダリ−”が12から20近くまでなるようです。
飲用適温
前の章で、テイスティングの時のワインの温度は約15℃が標準、と書きました。
ただしこの温度はどのワインがもっとも美味しく飲まれる温度ではありません。それぞれのワインの特性によって、一番美味しいと思われる温度は違います。そしてそれには原則があります。また、実際の問題として、ボトルからグラスに注いでしばらくすると、温度は2℃前後上昇します。
軽い味わいのものは、重い味わいのものより温度を低くした方が美味しく感じられる。
酸の強いものは、(特にリンゴ酸)温度を低くすると美味しく感じられる。(柑橘系や、リンゴの香りのするワインは低めの温度が美味しい)
甘みのあるものは冷たい方が美味しく感じられる。
最低温度は 5℃くらいで、冷やしすぎると味がわからなくなり、香りもたたなくなる。
最高温度は20℃くらいで、これ以上温かいと、味がぼやける。
樽熟成をさせたもの、マロラクティック発酵をさせたタイプのワインは、白ワインでも、やや高めの温度にした方がおいしさが増す。約12℃〜15℃(白の場合、バターやアーモンドの香りのするタイプ)
タンニン分は、温度を冷やすと味が堅くなり、高めの場合はまろやかさを引き出す。
熟成期間の長いタイプのワインは、短いタイプのものよりも、温度を高めに出した方が味わいや香りがより複雑になる。
ワイン・テ−スティングをより確実なものにするために、ノ−トをつけることをお勧めします。
公的な機関の鑑定の場合などでは、厳しく細分化されたチェック・シ−トが使われます。
しかし単に記憶のため、記録をつけるため、とか練習のためであれば、簡単なもの、メモ帳の書き込みで十分だと思います。但し、その中を、色、香り、味わい、と分類してノ−トすべきでしょう。これがあなたの「ワインお宝鑑定書」となるのです。
§例 一番簡単なシート
ソムリエの場合は、適合する料理などを加える。
| 項 目 | 内 容 |
| 名前及び醸造所 | シャト−マルゴ− (マルゴ−村) |
| 収穫年 | 1984年 |
| 色 | 濃いルビ−色、ディスクは少し変化、 素晴らしい輝き、しっかりとした涙 |
| 香り | 強さ:良い、第1香:赤い果物(カシス) 第2香:バラ、カシの樽香、くるみ とても上品で繊細 |
| 味 | 口当たり:しなやか 強さ:力強いが上品 ボリュ−ムがあるが少しまだ若い 余韻:約15秒 |
| 適用温度 | 18℃ |
| 総合判断 | 偉大なワイン、熟成も進んでいるが、まだ あと3〜5年後がもっと楽しみ、やわらかさと 繊細さが顕著 90年6月25日 |
§例 本格的なもの ボルドー大学のテイスティングシート