タイトル
Ever17
〜the out of infinity〜
ハード
DC/PS2
ジャンル
AVG
注目キャラ:沙羅、ココ

 



以下、八神ココ最終シナリオの感想を述べます。
ネタばれ全開なので、本作未プレイの方は絶対に読まないようお願いします。













八神ココ「LeMU」に遊びに来た女の子。辺り構わず他人に話しかける人懐っこい性格。ただその思考は果てしなくぶっ飛んでおり、話しかけられた者を混乱状態に陥れます。今回初対面のや少年にも「コメッチョ」で話しかけ戸惑わせますが、「LeMU」の事故も無邪気な笑顔は失われず、知らぬうちに周囲に安らぎを与えていました。しかし・・・。

 ココ編が最終シナリオということで、自分なりに考えをまとめてみました。まずは4シナリオクリア後(つまりココ編プレイ前)に考えた仮説です。

1.沙羅ココの関係について
 沙羅ココは同時に登場することはなく、沙羅は少年視点、ココ視点でのみ姿を現します。沙羅シナリオで沙羅は少年の妹だと判明しましたが、ココも少年のことをラストで「お兄ちゃん」と呼んでいました。少年編では幻でしか登場しなかったココ・・・、これは何を意味するのでしょうか。私がその時考えたのは、少年とココこそが本当の兄妹で、2人は特殊能力の持ち主であること。その能力は編で出てきた第3視点と関係しているのだろうと考えてみました。つまり第3視点とは人の意識に直接入り込める能力。ココは何らかの事情で「LeMU」に監禁されていて、意識のみが沙羅に乗り移っていたと考えられます。沙羅は少年とは無関係の女子高生で、少年は沙羅の背後にいるココに反応して、彼女を意識していました。沙羅エンドではココの本体を見つけることができず、少年はココの意識をもった沙羅と逃避行を行いました。沙羅ココに入り込まれたきっかけは沙羅が偶然ペンダントを拾ったからと推測します。
 一方、視点での沙羅ココの代わりに囚われている状況。つまり少年編と編の関係は並行世界だと考えました。ココほどではありませんが、沙羅も特殊能力(ハッカーなど)を持っているため、ライブリヒに目を付けられる可能性は十分あります。ただ第3視点を持っていないので、ココのように幻で登場するなど誰かに助けを求めることはできませんでした。以上、最終シナリオの目的は「LeMU」最深部にいる二人を助けることだとこの時点で予測していました。

2.つぐみの過去、の父親の過去
 つぐみシナリオではつぐみはキュレイウィルスに感染したことで、不老不死の力を手に入れたと判明しました。今回つぐみが「LeMU」に潜入したのはライブリヒへの復讐、もしくはキュレイウィルスの治療法を求めてでしょう。一方は行方不明になった父親を捜すために「LeMU」に乗り込んだと話しました。の父親がキュレイ及びTBウィルスの研究に関係している可能性は高いでしょう。以上を結びつけるともしTBウィルス感染の治療開発に特殊能力者を実験に使っていたとしたら・・・、ココ沙羅はそのために囚われていると推測することができます。シナリオラストに出てくる生体反応1はココ(少年視点)と沙羅視点)を示しているのだろうと結論づけられます。

3.少年の正体
 少年はココの兄で、彼女と同じ第3視点の持ち主。しかし逃亡中に何らかの理由で第3視点の能力が障害され、記憶を失ってしまいます。ココ編では少年は記憶回復とともに、第3視点の力も取り戻し「LeMU」最深部まで探索。最終的に囚われていたココを救出し、沙羅も自分の意識を取り戻し万事解決・・・というラストを想定しました。(その間には父親の事件に関する資料をすべて発見し、それを使ってライブリヒの悪事をすべて曝露します。一方つぐみは事故のどさくさにまぎれウィルスデータをすべて持ち逃げします。)

4.の活躍
 はあくまで傍観者として、事件に関わっていきます。行動力の足らない少年をサポートする形で活躍。今回の事件のあらましを聞く役として、プレイヤーが一番入り込みやすい役柄となっています。またをこちらの味方に導く役割も果たしています。

 ・・・と以上のような予測を立てていたのですが、
実際にプレイしてみると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、


 大外れでした!


 うむむ、今回の種明かしは本当に背中がゾクゾクっときましたよ。このトリックはさすがに思いつきませんでした。というより今までの話は並行世界があるぞと誤認させるための罠だったのだと思い知らされます。Never7の時はループ世界と思わせて実は・・・という展開でしたが、今回は並行世界と思わせて実は・・・という大どんでん返しを見せてくれました。よくよく見返すと、微妙にキャラの反応や事故の状況にズレがあることに気がつきます。ココ編プレイ前は、制作者さんがまとめきれなかったミスとなのだろうと捨て置いていたのですが、それが大きな誤りだったのだと気付かされます。それすらもココ編の壮大な伏線だったのですね。いやはや制作者さんには一時的にせよ失礼な感想を持ってしまいました。

ココ編プレイ前に漠然と抱いていた違和感)
1.つぐみの周囲に対する反応が編と少年編で大きく違う。
 おかげでつぐみが精神的に病んでいるのかと誤解してしまいました。どうも失礼しました。少年編で彼女があれだけを敵視していたのはこういうわけだったのですね。

2.は最初からの正体を知っているはずなのに、電力がストップした時の反応が微妙に違う。
 が電力ストップで姿を消した時、の反応が事情を知っていて落ち着いている時と素で驚いている時の2通りがありました。驚いていたのは彼女の演技だと言い聞かせていましたが、ちょっと合点がいかずストーリーの不備を感じていました。
 
3.少年の性格が微妙に違う。
 編の少年はココと精神的に変わらない子供子供といった印象でしたが、少年編では色々と考えていて編の少年よりも大人びて見えます。これは第3視点のためと考えていましたが、実はこれが物語の根幹を揺るがす大伏線だったのですね。少年の顔が鏡に映った時のシーン・・・、BGMと相まって非常に驚かしてくれました。

4.に対する反応が違う。
 つぐみの時もそうでしたが、編と少年編で微妙に対応が異なっていました。編の時は少し反応が柔らかいような気がしました。それは自分が視点だったからという欲目もあるのだろうと感じてはいたのですが・・・、実はこれもココ編の伏線だと判明します。

 4ヒロインシナリオをプレイしていた時から、以上のような言葉では説明しにくい違和感を感じていたのですが、ココ編をプレイしていくうちにその居心地の悪さがより浮き上がっていきました。そして3日目辺りからついに話が大きく動きます。少年視点において、の名前が変わり、少年の顔が違っていたこと、そして少年の本当の名前が判明・・・。まさに「キミはダレ?」「ボクはダレ?」の状態です。少年視点のが本当になのか?・・・そのことに気がついた時、今までの認識が根底から覆され、大きな衝撃が押し寄せてきました。まさに「こう来たか!」と手をうつ種明かしです。


 本物語は人間の錯覚を利用しています。しかもゲームだからこそ可能となる錯覚現象です。もしこれがテレビや映画だったら・・・、まず主人公の姿が映らないのはおかしいといぶかしがることでしょう。もしラジオやドラマCDなら・・・、声の違いでこのトリックはばれてしまうでしょう。もし小説ならば・・・、理論上可能ですが、主人公(視点)を複数配置するのは表現上非常に難しいと思われます。やはり「主人公は姿が映らない」「声もつかない」「マルチにシナリオが展開する」が暗黙の了解となっているゲームだからこそ成功したトリックと言えます。他ジャンルで皆無とは言いませんが、ここまで鮮やかに騙してくれた作品はそうありません。登場人物がどうこうなるのではなく、お話自体で感動させてくれたのは本当に久しぶりかもしれません。誰かが犠牲になってみんなが幸せになるのではなく、全員が笑顔で集合できたことは本当に感動で胸がいっぱいになります。グランドフィナーレを見た後、本作は2002年度を代表する感動作品だと胸を張って言うことができます。


 ココ編プレイをしてそれまでに抱いていた違和感及び疑問はほぼ消失しました。まず人物関係を整理します。

初期の名称
武編
少年編
優美清香菜
優美清香菜
つぐみ
つぐみ
つぐみ
空(リニューアル)
沙羅
存在せず
沙羅
ココ
ココ
スリープ中
桑古木
少年
***
ホクト(**)
 
 こうして見ると本作はプレイヤーに並行世界だと誤解させるために、あらゆるトリックを用いていたことが分かります。

 シナリオにて母親と子供の関係がクローンであることはおぼろげながら気がついていました。ただそれが編のと少年編ののことを指しているとは夢にも思いませんでした。クローンについてはNever7とリンクさせるために設定したのだと考えていたのですが、まさか時間軸そのものを錯覚させるためだったとは・・・。確かにこうして真相を知ったらエンドで彼女の過去を詳細に述べることはできませんね・・・。でも多少危険球でも二人がクローンであることぐらいは明かしても良かったかもしれません。クローンの事情で父親はいないのでそれで過去を告げるのをずっと黙っていたとか・・・、そういう形でエピローグに繋げていたら、親子愛のテーマとしてまとめることができたでしょう。シナリオ単体ではあまりにも中途半端なラストなので、もう少し何かプラスアルファが欲しかったところです。

 つぐみ:彼女はキュレイウィルスに侵されたため、姿が変わらないまま両視点のシナリオに登場します。でも彼女の心理状態は編と少年編では全く異なります。少年編でなぜつぐみがあれほど敵意を剥き出しにしていたのか・・・、今ではよく理解できます。確かに自分の大切な人間の名前を騙られては平常心でいられるわけがありません。
 彼女は本作の真ヒロインだったと言えます。彼女がいなければ物語は始まることなく、こうしてグランドフィナーレを迎えることもなかったでしょう。

 :彼女は少年編では記憶をインストールされていないと思われるので、本質的には変わっていないでしょう。ただ一つ気になるのは彼女が少年編の武(桑古木)にも心を移したのかというところ。桑古木にとってはを演じているだけなのですから、に好かれる必要はないわけで、あのメリーゴーランドイベントが果たして彼にとって必要だったのか考えてしまいます。それとも少年に見られている(過去に自分が見た)現象だから忠実に再現したのでしょうか。

 沙羅:彼女が編に登場しなかった理由・・・、ココ編で大きく納得しました。彼女をココの偽物程度としか認識していなかった自分に反省です。ただこうして真相が判明すると、実は沙羅エンドは周囲にとって最悪の結末と言えますよね。2人が逃げたという事情を知らない優春桑古木にとっては計画が失敗した上に2人を死なせてしまったという最悪の結果だけ残り、つぐみにとっては最愛の子供を一度に失ってしまった形になります。これではいくら善意で始めた計画とはいえ、優春つぐみの間には果てしない憎しみだけが残る結果となるでしょう・・・。
 グランドフィナーレの彼女はブラコンだけでなくファザコンまでも取り込んだ強力キャラに更に進化しています。外見の年齢差が約3歳の父と娘、兄妹愛以上に接近している二卵性双生児の兄妹・・・、実に背徳感溢れるキャラとなっています。にベタベタする沙羅を見て、つぐみが嫉妬で暴れるとか、不毛な(不純な)展開が頭に浮かんできます・・・。

 ココ:プレイ当初は彼女が物語のキーパーソンで、最後はみんなのために犠牲になるキャラと想定していました。というか少年編の彼女はそういった臭いをプンプンさせていましたからね・・・。実際蓋を開けてみると、運命を彼女に一任させるような展開ではなくてホッとしました。あくまで物語のヒーローとヒロインはつぐみで、ココを(特殊能力こそありましたが)大人に守られる子供の設定のまま終わらせてくれたところが好印象です。
 VMアイコンで変な走り方をしていた彼女ですが、あれはひよこ歩きだったのですね。ひよこごっこにイモムシごっこ・・・、人として一番他人に見られたくない遊びです・・・。外見的にも精神的にもとても14歳には見えない彼女ですが、後半少年に語りかけた時の彼女は、実は知性を隠し持っていたのかと思わせる程、理性的で落ち着きがありました。あの常識を逸した行動の数々は4次元視点があるからこそ生まれたものだったりして。きっとそこには3次元人には分からない深い定理や法則があるに違いありません(笑)。
 
 :本作のヒーロー役。久しぶりに格好良い主人公に巡り会いました。最近、鈍感かつ逃避的な主人公が多い中、時代遅れな熱血ヒーローは逆に新鮮にうつります。彼は必ずしも正しい行動をとり続けたとは言えません。感情に任せて空や少年にきついことを言ったことがありました。キュレイウィルスの抗体をみんなに注射したことについては取り返しのつかない過ちを犯したのかもしれません。それでもまず彼は一番に自分が動いているのですよね。この行動力が昨今の主人公(更には現実の私たち)と比較して非常に頼もしく映るのかもしれません。ココとの口約束を守って、本当にコールドスリープに入った彼はとても格好良く見えました。普通ならより建設的に考えて、まず自分だけが脱出して後からココを救う算段を立ててしまいそうです。おそらく彼はそういう打算的なことは思いつかないのでしょうね。悪く言えば単純なのですが、俗に言う男らしさを発揮しているキャラだと言えます。
 

 桑古木:本作の裏方を一手に引き受けた人物。そして一番の功労者とも言えるでしょう。彼が正体を明かした時は背中がゾクゾクする程の興奮がありました。あの時の不敵な笑みを見た時は、悪意で自分達を騙していたのかと思わせダークな展開を予想させました。最終的に彼も仲間を大切に思う好人物だと判明し、一気に好感度が上がりましたが・・・。彼はもう一人のヒーローにこそなりえませんでしたが、彼がいなければこの物語自体が成立しなかったのは確実です。つぐみに敵視され、少年になじられても、黙々と自分の役割を演じたところは大きく評価されるべきでしょう。
 彼の好きな人物はグランドフィナーレの流れから優春なのかと思ったのですが、実はココだったのですね。そういえば編でココを一番心配していたのも彼でした。これで彼がここまで必死にを演じていた理由が良く分かりました。でも頑張って救い出したココの心はすでに**の中・・・。本作の中で1,2位を争う程の苦労をしていながら、実は誰よりも報われていません。ライバルと競争するにしても・・・あまりに次元が違いすぎて勝負すらできないところが哀れです。あと組み合わせを考えると、フリーなのは優春沙羅・・・。優春とは長年同じ目的のために行動した同士として意気投合しそうですが、優春の心はにいってるのですよね・・・。も同様です。沙羅は・・・、年上に弱そうなのでそこに付け入る隙がありそうですが、ここでもという大きな壁が・・・。結局どこにいってもの存在が彼を動けなくしているのですね・・・。彼はおまけシナリオなどでその後を補完してあげて欲しいキャラです。

 ホクト:最初に彼のCGを見た時は目が鋭くてクールな印象を受けたのですが、彼も重度なファザコンと判明しました。どうせならつぐみの方に走ってマザコン振りを披露したらもっと不毛感がでたかも(笑)。それで嫉妬した沙羅に耳を引っ張られてお説教を受けたり・・・。どうもこの家族を見ていると危ない妄想がたくさん浮かんできます(苦笑)。

 **:第3視点。最初に名前が出てきた時は、この人の名前とは思いませんでした。偉い学者の名前かと思いましたので・・・。ところで最初にこの名前を命名したのは誰なのでしょう?**は生まれたばかりですし、ココが名付けたにしては名前が堅苦しすぎますし・・・。優春でしょうか?でも彼女は**から聞いてそれに従ったように見えましたし・・・、これはタイムパラドックスの臭いがします。


 結局最後まで分からなかった謎・・・というか疑問

1.生体反応1は誰を示していたのか。
 第3視点として見ている**のことを指していたのか・・・、それとも時折実体化するココのことだったのか、結局不明です。機械の故障と言われれば、それまでなのですが・・・。

2.優春達が「LeMU」の再建設を成功させた方法
 過去の大事故を象徴する「LeMU」の再建設をよくライブリヒは許可したものです。優春がそれすらも可能な立場だったのなら説明つかなくもないですが、それだけ高い地位にいると不正発覚後その責任を追及されてしまう危険があります。更にやらせとは言えども事故の責任自体はとらないといけないでしょう。それすらも承知の上で動いていたのなら、かなりの覚悟があったと言えます。言ってみれば優春つぐみ達の悲惨な生活を知りながら放置していた形になりますので(陰で援助はしていたでしょうが)、その償いを込めて企業もろとも自滅する覚悟だったとしたら泣けてきますね・・・。

3.キュレイウィルスはどこまで達を蝕んでいるのか
 一見大円団に見えますが、キュレイウィルスはつぐみココ優春桑古木に影響を与え続けています。お話の流れから予測する限り、純粋なキュレイ症にかかっているのはつぐみだけで、他の4人は不完全なようです。優春桑古木は成長が止まって若い状態が続いているので不老の効果はあるようです。優春は元の疾患がすっかり治癒していました。または海中で驚くべき回復力を見せていました。以上総合すると不完全なキュレイ症は不老と病気の治癒力向上は備えているようです。それでは完全なキュレイ症との違いは寿命の長さでしょうか。つぐみは年もとらないし死ぬこともない完全不老不死。あとの4人は不老で免疫力に優れていますが、寿命が来れば死ぬことができる・・・、その中ではややキュレイの血が強いと推測することができます。つぐみと人生を添い遂げるためにはキュレイウィルスの特効薬を見つけることが急務ですね。少なくとも親として我が子の死を先に看取る事態だけは避けたいものです。このテーマでまたお話が1本作れそうです。
 
 


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