タイトル
想い出にかわる君
〜MemoriesOff〜
ハード
PS2/DC
ジャンル
AVG
注目キャラ:響、環、那由多

(ストーリー)主人公は、ごく普通の大学1年生である加賀正午。講義をサボってばかりいる彼は、友人が集まる”cubic cafe"という名のカフェに足繁く通い、店を訪れる女の子たちと知り合っていく。そんな夏のある日、正午はかつての恋人だった黒須カナタと、その店で偶然再会することになる・・・。


予備知識前作「Memories Off」「Memories Off 2nd」プレイ済み。

前印象本シリーズは恋人との別れと心の整理をテーマにしています。1作目・2作目ともコンシューマーとしては画期的な設定を取り入れ、プレイヤーに強い印象を与えてくれました。さて3作目になる「想い出にかわる君」ですが、今回のメインヒロイン・黒須カナタは主人公の元恋人という設定です。キャラ紹介を読むと彼女は高校時代に突然転校して主人公と音信不通になったそうです。本作一番の見所はなぜカナタは主人公に何も告げずに姿を消してしまったかというところでしょう。本作は3年ぶりに何の前ぶりもなく主人公とカナタがカフェで再会するところから始まります。

最初の印象OPは音楽が格好良いですね。何回も聞き返したくなります。OP映像の方はキッドさんの作品をやり込んだ者にとってはお馴染みの演出です。挿入される文字群もデフォルトになりましたね。従来とは違うのは男性キャラもOPに登場するようになったところでしょうか。今までは友人役が申し訳程度に一人いるだけでしたが、今回は何と4人もいます。ヒロイン別に主人公のライバル役として活躍してくれると面白そうです。

 序盤は主人公の状況説明が中心です。主人公は大学一年生。しかし特にやりたいこともなく学校をさぼって、カフェ「cubic cafe」に入り浸っている毎日です。無気力タイプの主人公ですが、リアル大学生の設定としてはありでしょうか。物語を通して成長していってくれるのなら受け入れられることができます。
 主人公に関わってくる人物としてまず男性キャラを紹介。どうでも良いことですが、序盤女性キャラがほとんど登場せず、男性キャラのやり取りだけで進むのはかなり異色かも。他には「グリーングリーン」でも見られましたが、会話のノリが両者で随分違います。「グリグリ」では男子校特有の暑苦しい会話が楽しめましたが、本作の場合はノリこそ軽いのですが何かお互いが心の内を隠しあっているような空々しい雰囲気を感じてしまいます。どこか会話が上滑りしているんですよね。何か一人酔い損ねて、コンパや宴会の会話を聞いているような寒々しさを感じてしまいます。場に入り込めたら雰囲気に酔えそうなのですが、主人公が自分から盛り上がるタイプではないので、読んでいても一歩引いてしまいます。これはヒロインが登場した後も続く違和感です。輪に入り込めない主人公を演出する意図ならそれはそれで良いのですが、プレイヤーにとっては正直言わせてもらうと「退屈」です。
 
 まず前シリーズから皆勤の稲穂信。高校を中退してファミレスで働くフリーター。学校は行っていませんがなかなかの博識で、前作・前々作とも主人公に的確なアドバイスを送っています。二人目は中卒で無職の力丸真紅郎(通称・マグロー)。熱血タイプですが、周囲に遊ばれる犬チックな面もある少年です。三人目が寡黙で表情をほとんど見せない青年・飛田扉(通称・トビー)。露天商をやっているようですが、詳しい経歴は誰も把握していません。マグローからは慕われていますが、主人公とは肌が合わないのか顔を合わすたびに喧嘩一歩手前の状態となっています。四人目は「cubic cafe」の店長。カフェ仲間からはテンチョーと呼ばれています。自分のポリシーを貫き、時に頑固な一面を見せますが、カフェ仲間の良い相談役となっています。
 というわけで男性キャラをザッと見てみましたが、今のところ気に掛かるのはトビーですかね。もう少し無表情なキャラかと思っていたのですが、主人公と顔をあわすたびに蔑んだ笑いを見せるむかつくキャラとなっています。主人公が甘ちゃんであることは序盤で分かりますが、そのことに対しあからさまに態度で示されると主人公と一緒に不愉快になってしまいます。ただこの手のキャラは後半何らかの事情が明かされて、唯の嫌な奴ではないと判明しそうです。今後の精神的な安楽を図るためにも、早めに彼の事情の分かるシナリオを選んだ方が良さそうですね。それにしてもトビーに限らず、主人公と肌の合いそうな男性キャラがいないのが何とも・・・。マグローとは相性良さそうなのですが、彼はトビーのシンパですからね。は完全に主人公よりも高見にいますし・・・。気軽にバカをやれる友人が一人いればまだ輪にとけ込めたのではと思ってしまいます。

 ヒロイン候補は元恋人の黒須カナタ。神出鬼没に主人公の前に現れて、主人公の心を乱します。彼女の本心を知ることが本作一番の鍵だと思いますが、トビー同様会うたびに自分を否定する言葉を投げかけられてあまり良い気分はしません。過去に何らかの落ち度があれば主人公の自業自得なのでしょうが、今のところ一方的に離れた相手にそんなことを言われる筋合いはないと思ってしまいます。
 次に荷嶋音緒深歩の姉妹。音緒は妹想いの高校2年生。フードジャーナリストを目指して色々な店を見て回っています。深歩は足にハンディキャップを持ち車椅子での移動を余儀なくされている高校1年生。絵本童話と花が大好きで、花を背景にした自作の詩を書いています。音緒はもう少しおっとりした性格かと想像していたのですが、意外に自己主張の強い賑やかな女の子でした。深歩は想像通り明るい頑張り屋タイプ。すぐに自分の世界に入ってしまうところは自由に歩けないことに対する不満の代償行為でしょうか。OPでは鬱的なセリフが満載ですが、車椅子という微妙な設定をどう消化していくのか興味深いところではあります。二人の仕草がなぜか対称的になっているところは面白いです。
 次に初対面のトビーに強烈な蹴りを見舞った鳴海沙子。キビキビした態度に整った美貌の持ち主ですが、鏡に向かって自己暗示をかけているなどその行動原理は不明です。北原那由多は大学の講義で主人公に話しかけてきた女性。明るくて人当たりの良い性格。主人公は彼女を見てなぜか懐かしさを感じるようになります。彼女は取説ではそれ程惹かれなかったのですが、登場後は全キャラ中一番まともな感性の持ち主のようなので気に入りました。OPに出てくる「そんなことないよね。そんな・・・ひどいことしないよね?」云々のセリフが気になります。
 6人目は主人公がぶつかったことで知り合いになった児玉響。しかし真相はが知り合うきっかけを作るためにわざとぶつかった模様です。見た目は遊んでいるギャル風ですが、主人公と関わりを持とうと色々頑張る一途な面を持っています。彼女は珍しく主人公の存在を認めてくれた人物なので、一気に好感度が上がりました(笑)。何か彼女といると自分の居場所を見つけたみたいでホッとしますね。時々出てくる変なポーズがまたツボにはまりました。このタイプはどこかで見たことがあると思っていたのですが・・・・・・、「ときメモ2」の不幸少女・美幸とそっくりなのだと気がつきました。
 7人目はどこからかやって来た迷子・百瀬環。学校に行くことをやめトビーの露天商を手伝っています。素直な性格ですが、言動が人一倍遅く周りから取り残されがちです。自分を救ってくれたトビーを尊敬していますが、主人公には仕事を押しつけられているようにしか見えず見てトビーに不満を募らせていきます。取説の絵柄では一番気に入ったキャラですが、実際に会ってみると感情障害っぽい要素を備えていてちと会話に難渋しそうですね。トビーも深く関わってきそうなので、一番複雑になりそうなシナリオです。
 
 さて誰のシナリオから始めましょうか・・・。好みとしては響・那由多・環辺りですが、できれば本作のテーマを早めに掴みたいので、主要ヒロインで進めたいところです。カナタは癖がありそうなので、まずは音緒もしくは深歩のどちらかで進めていきたいと思います。

(以下、内容に触れます。)

中間の印象:本作は「1」「2」のヒロインがサブキャラとして登場します。確認できたものとして、「1」からは唯笑小夜子、「2」からは静流が登場しました。あと彼女達の話から推測すると、本編は「1」の唯笑エンド、「2」のほたるエンド後の世界になっているようですね。ほたるがきちんと「2」の主人公と結ばれていたのは何よりです。もし静流エンドとかでしたら、静流さんはこんなところでプロレス談義などできませんからね(笑)。本作でかなりワイルドになっていた静流さんに軽いカルチャーショックを受けました(苦笑)。
 前作ファンにとっては「1」「2」のキャラが登場するだけで嬉しいものですが、本編を初めてプレイした人には混乱を与える元になっていたかなという気もします。正直言って彼女らが登場する必然があまりありませんからね。「2」ではさりげなく知り合いだと触れていただけなので、色々想像が膨らんで丁度良かったのだと今更ながら感じました。

 というわけで肝心の本編ですが、音緒深歩はホームページを開設しました。音緒は食べ物を扱った専門的なコンテンツ、一方深歩は日記や詩といった抽象的なもので、おのずと反響は音緒に集中していきます。寂しそうにしている深歩を見て、主人公は手助けをしようと考えますが・・・、その手段が名前を偽っての深歩への応援書き込み。ううっ、これはバレると後が辛いですよ・・・。更に喜んでいる深歩を見て、主人公は調子に乗って複数のハンドル名を使いますし・・・、やめてくれと悶えたくなる展開です。半分目を背けながら進めていきましたが、途中謎のハンドルネーム「花の王子」に話題がシフトしたので主人公のアホな行為はうやむやになったようです。「花の王子」の書き込みで嬉しそうにしている深歩を見て面白くなさそうにしている主人公のへっぽこぶりが目立ちます。もう少し努力する方向を考えろとツッコミたくなります。
 後半、「花の王子」を騙った書き込みにより一時掲示板は荒れますが、結局騙りを含めて「花の王子」の正体が誰なのか分からずじまいでした。まずトビーが「花の王子」候補に浮かびますが、彼がそんなお節介な真似をするだろうかという疑問が浮かびます。見当はずれな予想になるかもしれませんが、私は音緒が関わっているような気がします。感性が合うというところが怪しいです。騙りが彼女自身なのかは何とも言えませんけどね。この場合深歩の介護に疲れた音緒の本音が出てきたという展開にもできそうですが。


最終の印象1回目は深歩シナリオをクリアしました。感想は・・・可も不可もなくといった感じでしょうか。深歩の専用ルートに入ったのは後半1/3と短かった気がします。前半の2/3はただカフェでだべっているだけの印象で、実りがなかったなあというのが正直な気持ちです。その分専用ルートに入ってからは主人公も頑張りだして盛り上がりを見せましたけどね。ただ遅きに失したという気分です。こちらは待ちくたびれてしまい、テンションを回復させる前に終わってしまったという印象です。内容的にはハンディキャップを持つ少女の苦悩をストレートに描いていて悪くなかったと思います。取説にも書いてある「がんばらなくちゃ私は生きちゃいけないの?!」という言葉が心に突き刺さります。ただその描写が短すぎました。主人公の努力も短すぎました。もっとドロドロに疲れるまで頑張る描写を見せてくれないと、クライマックスの名セリフが生きてきません。主人公の初期設定が努力家ならあれでも良かったかもしれませんが、それまでが無気力なさぼり魔でしたからね・・・。深歩はこれ以上頑張らなくても良いけど、お前はもっと努力しろと突っ込んでしまった人は私だけではないはずです。テーマはデコレーションケーキ並の巨大なものでしたが、実際に食べられたのはほんの一部だけというあっけなさを感じてしまいました。
 トビーの秘密は「まあこういうのもありかな」というものでした。主人公が深歩に慕われているトビーに嫉妬していたように彼も主人公に嫉妬していたのだろうと感じさせてくれました。後半の主人公とトビーのやり取りは青春物のような熱さがありましたね。和解があっさりしすぎているという気もしましたが、主人公がトビーの秘密を知ってもハンディキャップを持つ彼に対して手加減しなかったところが結果的に両者のわだかまりを埋めたと思われます。ただトビーにはまだ色々と秘密がありそうな気がします。


響・環ルート

 響シナリオをクリアしました。感想は・・・良質の恋愛ゲームといったところでしょうか。ヒロインの描写はしっかりしていますし、固有シナリオに入ってからはだれずに読み進めることができました。の妙なハイテンションぶりは読み進めていくうちにやみつきになります。特に「やった〜」音頭は個人的にツボにはまりました。早く会うために電車を押すという発想も子供の純粋さを残しているようでうまい表現だと思いました。中盤まではもしかしたらの実年齢はもっと下なのではと思う程でした。あのいかにもギャル風の衣装は実年齢をごまかすためで、本当は中学生(更に進めて小学生)という真相に持って行ったらかなり面白い話になっただろうなと感じることがありました。それなら妙に決まり事にこだわるところや感情表出が子供丸出しだったところが伏線として発揮しますしね。を通して子供の頃の純粋さを取り戻す主人公の話・・・良い話だと思います。
 ただメモオフシリーズとしては、何かもう一押し心に響くものが欲しかったところです。シナリオでは他にもおいしい設定を持ち出していたのですが、どれも料理しきれていないような・・・言ってみれば生焼けの料理を食べさせられたような気分になってしまいました。がお金に執着していた理由、との三角関係、が簡単に寝る女だと言われている噂、そしてかなたからお下がりをもらい続けたコンプレックス・・・、この中の一つでも深く掘り下げてくれたら、もっと心に残るお話になったかと思います。一番の元凶はヒロイン固有のシナリオが短かったことでしょう。本作はまず前半で全般シナリオを進めた後、2ヒロイン(例えば)の共通ルートに進み、後半で各ヒロインごとのシナリオに分岐するようになっています。この手法はヒロイン間の繋がりを見せる上では適しているのかもしれませんが、肝心のヒロイン固有シナリオが短縮しているため、一番見たかったところが駆け足になっているような気がしました。との関係をに誤解された時はここで修羅場が展開されるのかと意気込んでみたのですがあっさりと誤解が解けましたし、のお金至上主義なところも主人公と論戦が起こるのかと期待してみれば、の謝罪で簡単に解決・・・。もう一押し・・・もう一押しが欲しいお話でした。

 環シナリオもシナリオと同様の感想です。素材は良い物を持っていたのですが、突き詰めがあと一歩でした。がみんなに好かれようとして振る舞った結果、誰からも相手にされなくなった過去。はおそらく親からほとんど褒められたことがないのでしょう。褒められたことがほとんどない子供は、失敗したときに激しく叱責を受けた記憶のみ残り、いつしか親に嫌われないように生きる方法を身につけます。それは相手の顔色を見て自分の行動を決定する方法です。自分の意思よりもまず親の意思が優先されます。そうすることで親から怒られることがなくなり、子供は安心を得るのです。ヒトはこの方法を少なからず使っていましたが、その処世術を社会全般にまで広げたのが今のです。ただ家庭と違って社会には様々な人物が存在します。その人物の喜ぶ行動をとろうと思っていても、すべてに対応することはできません。更に親子の関係とは違って、複数の人間を相手にすることがあります。片側にとって利益のある行動が、もう片側にとっては不利益になる事態も発生します。その歪みが自身に跳ね返り、彼女の行動原理はやがて行き詰まってしまいます。彼女は社会から逃避し、トビーに拾われます。しかしここでも集団が出来るとは再び同じ過ちを犯してしまいました。ついに自分がどのように行動すれば良いのか分からなくなり、人形のように動けなくなってしまった。(ここでヒステリー症状として本当に動けなくなったら完璧だったでしょう。)プレイヤーとしてはここからどう解決していくのかが一番の関心事でした。その回答が「自分の意思で物事を決めること」。そして「自分の意思を受け入れてくれる相手を見つけること」。主人公がその役割を担ったわけですが、残念ながらが主人公に惹かれる流れ(逆もしかり)がいまいち実感できなかったため、せっかくの見せ所が盛り上がりに欠けてしまいました。これも後半を急ぎすぎたせいでしょう。トビーから主人公に心が移るイベントが一つでもあれば・・・・そう思わざるをえないもったいないお話でした。
 ここでトビーの過去が新たに出現しました。深歩シナリオのものと合わせると、彼は波乱の人生を歩んできたことが良く分かります。彼の過去についてはその場限りの設定で終わらず、後のシナリオできちんと焦点が当てられるのか気になるところです。


那由多沙子ルート
 このルートはタイトル「想い出に変わる君」の意味を成していると感じられるシナリオでした。主人公が子供の時に一緒に遊んだ想い出の女の子。主人公は大学で那由多と出会った時、彼女が想い出の女の子ではないかと疑います。那由多の仕草一つ一つが想い出の女の子に重なり、やがてその想いは確信に変わります。主人公は機会を見計らって彼女にそのことを尋ねようとしますが・・・といったお話。このルートは主人公が比較的目的意識を持って行動しているので序盤から面白く感じられました。主人公の回想シーンにどんなひっかけがあるのか、あれこれ想像しながらプレイしました。想い出の真実はまあ想像通りだったのですが、さすがにその後のお家騒動については予想しませんでした。那由多の本棚の裏から殺人に関する資料がボロボロと出てきた時は薄ら寒い思いをしました。明るい女の子が突然殺人鬼に見えた瞬間です。この辺りの描写は私好みです。ただクライマックスからラストにかけてが相変わらず中途半端なんですよね・・・。彼女の心の闇をいかに取り除いてあげるかが一番の見所だと思うのですが、そこが以下略になっていたので非常にモヤモヤした気分です。彼女の罪を受け入れるというのは主人公の姿勢の問題であって、彼女自身の問題については何一つ解決していません。仕方がないので自分なりに考えてみましたが、彼女の心の闇を取り払うには沙子との和解が必要だとまず考えます。沙子から拒絶されたことが那由多の心を歪ませた一番の原因でしょうから、そのこじれた絆を修復させる描写が本ルートでは必須だと思います。那由多シナリオではそれが見られなかったので、沙子シナリオで語られるのかなと期待したのですが・・・。

 沙子シナリオでも残念ながら以下省略でした。しかもこちらのルートでは那由多沙子の直接対決があったため、余計に不完全燃焼になってしまいます。主人公を中心とした三角関係が那由多達両親の関係をなぞっているところはうまいと思いましたが、せっかくの問題提起に対する答えが語られないまま終わってしまった心境です。あれで終わられると那由多は好きな人をとられ、更にかつての自分の母親と同じ境遇に陥るという踏んだり蹴ったりの状態です。これではこの後正気を失った那由多沙子と主人公に毒を盛って、無理心中を図るという展開が浮かんできて仕方がありません。このシナリオを作った責任として那由多の心のケアを入れてくれないと、非常に心許ない気分になってしまいます。終わってみるとOPにあった「そんなことないよね。そんな・・・ひどいことしないよね?」という言葉が大きくのしかかる内容でした。


トゥルーシナリオ(音緒カナタルート):
 ほほう、こう持ってきましたか。今までの話は前座でここからが本作の見せ所だったわけですね。店長のエピソードはさすがに予想できませんでした。当たり前に存在したカフェが突然なくなり、居場所を失った主人公。自分の気持ちは一向に整理がつかないのに、時間だけはドンドン過ぎていく焦燥。今感じている気持ちは正しいのか、傍にいてくれる女の子への想いは本物なのか、すべてにおいて自信を喪失している主人公の描写はある意味等身大の若者像としてのリアリティがあります。明確なビジョンがないため、とりあえず目先の問題だけを処理していこうという姿勢となり、結果的に音緒カナタを二股にかけた状態となってしまいます。気持ちは分かる・・・、分かるのですが第3者から見るともどかしいことこの上ないシーンです。相手の言葉に感化されてフラフラと両者の間を行き来するところはこの主人公に最初から意志などないと実感させる十分なエピソードでした。今までのシナリオで今ひとつ不完全燃焼だったのはこれのせいだったのだと今なら分かります。他ヒロインシナリオのエンドの時点では主人公にはまだ明確な意志が芽生えていないのだと考えます。どのシナリオも他者の意見を鵜呑みにして結論を出したつもりでいましたが、主人公にとってはここからが出発点なのでしょう。きっとエンディング後はトゥルーシナリオのように主人公は2人のヒロイン(例えば那由多沙子)の間でフラフラする展開が待っているのだと考えます。今回トゥルーシナリオではその後を見せてくれたので、若干スッキリすることができました。ただ若干というだけで、あの性格の主人公ですからトゥルーエンドでもスパッと決断できたわけではないんですよね。ここでも他者が行動してくれたから何とか体裁がとれただけで、主人公自身の明確な意志はあまり伝わりませんでした。クライマックスで音緒シナリオではシンの、カナタシナリオでは唯笑の口添えがあったわけで、う〜む結局主人公は何の成長もしていなかったということになるのでしょうか・・・。

 音緒はトゥルーシナリオに入ってから魅力が急上昇しました。というよりヒロインの性格をしっかり描いてくれたのはこのシナリオだけだったような気もします。彼女は負の性格を色々と見せていましたが、逆に人間味溢れていて魅力の一部と捉えることができました。主人公の浮気(?)を知った後、主人公に無断で部屋の自分の持ち物をすべて引き払ったところは彼女らしい激しさがあって興味深かったです。もし現実にやられたら、大ダメージを受けること必至です。

 カナタはほとんどのヒロインと何らかの関係がありました。直接的なところでは音緒はモデル時代の知り合いで、カナタからお下がりをもらう関係、沙子は幼少時にカナタに傷を作るほどの怪我をさせていました。那由多とはテープの声のところでカナタと関係しており、この伏線は見事だと思いました。
 


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