タイトル
CLANNAD
〜クラナド〜
ハード
WIN
ジャンル
AVG
注目キャラ:渚


(ストーリー)
校門まで残り200メートル。そこで立ち尽くす。
「はぁ」
ため息と共に空を仰ぐ。その先に校門はあった。誰が好んで、あんな場所に校門を据えたのか。長い坂道が、悪夢のように延びていた。
「はぁ…」
別のため息。俺のよりかは小さく、短かかった。隣を見てみる。そこに同じように立ち尽くす女の子がいた。同じ三年生。けど、見慣れない顔だった。短い髪が、肩のすぐ上で風にそよいでいる。
「この学校は、好きですか」
「え…?」
いや、俺に訊いているのではなかった。  
「わたしはとってもとっても好きです。でも、なにもかも…変わらずにはいられないです。楽しいこととか、うれしいこととか、ぜんぶ。…ぜんぶ、変わらずにはいられないです」
たどたどしく、ひとり言を続ける。
「それでも、この場所が好きでいられますか」
「わたしは…」
「見つければいいだけだろ」
「えっ…?」
驚いて、俺の顔を見る。
「次の楽しいこととか、 うれしいことを見つければいいだけだろ。あんたの楽しいことや、うれしいことはひとつだけなのか? 違うだろ」
そう。何も知らなかった無垢な頃。誰にでもある。
「ほら、いこうぜ」
俺たちは登り始める。長い、長い坂道を。


最初の感想:ノベルゲームに「泣きゲー」のジャンルを確立させたkeyさんの最新作です。かつて「Kanon」「AIR」では多くのプレイヤーの涙を搾り取りました。特に「泣かせる演出」についてはいまだ「AIR」を超えるノベルゲームには出会っていないと個人的に捉えています。感動ゲームの横綱と言っても良いメーカーさんですが、残念ながら新作の発売が延びに延びてしまいかつての熱狂はかなり失われています。「AIR」の発売が2000年ですから約4年ぶりのお披露目です。果たしてこの新作で燻ぶった種火をもう一度燃え上がらせることができるのか・・・という視点でプレイしても良いのですが、これでは前作の比較ばかりに終始してしまいストーリーを堪能する余裕がなくなる危険があります。更に良くも悪くも話題になりやすい作品なので、他者の意見を見てしまうと大きく影響を受ける可能性があります。ですから本作についてはコンプリート(もしくは挫折)するまでいつも以上に情報をシャットアウトして純粋な気持ちでプレイしていきたいと思います。伏線を伏線と気づかずとんちんかんな感想を書くこともあるでしょうが、許してやってください。

 主人公は学校をさぼりがちなアウトロー的立場な少年。今日も遅刻しているにもかかわらず特に慌てるでもなく校門までの坂道をやる気なく上っていました。そんなある日、主人公の隣で同じく遅刻確定の学校に足を進める少女がいました。彼女の名前は古河渚。彼女は長期に学校を休んだ影響で、いまだ学校に馴染めず毎日の登校を躊躇していました。事情は違いますが、同じく学校に溶け込めない者同士の二人。主人公とはほのかな親近感を覚え、自然と声を掛け合うようになります。そしてお互いの素性を少しずつ打ち明けるようになり・・・という形で話が進んでいきます。

 出だしはそれほど強いインパクトはありませんが、会話や場面転換が滑らかなので自然と本作の世界に入り込むことができました。ただの日常会話でも不思議と読ませてくれます。洗練された文章と書くと言いすぎですが、序盤から飽きさせない文章を見せてくれるというところは個人的にポイント高しです。ただギャグについては以前ほどのはっちゃけぶりがないところはファンとしては賛否の分かれるところでしょうか。まだ序盤なのでこれからが本番なのかもしれませんが、全体的に抑え目です。現時点では主人公の親友・春原陽平とのやり取りが所々クスリと笑わせてくれますが、ブラックな要素が大きいので手放しで笑えないところが難点です。

 本作の主人公は遅刻・サボりが常習の反社会的な性格を持ち合わせていますが、序盤から理由が明かされるためそれほど強い拒絶感はありませんでした。むしろ今後ヒロインとの出会いでどのように変化していくのか楽しみです。陽平は主人公以上にアウトロー気質で、後輩から小銭を巻き上げるなど時々受け入れがたい行動をとっています。ただ彼の場合も別の方面(主人公やラグビー部)からひどい目を受けているので、ギリギリ許容範囲内でしょうか。彼も主人公同様心に傷を持っており、その経緯から主人公と気が合っています。

 ヒロイン候補は取説を読むとたくさんいるのですが、最初は単独に絞るつもりなのでできるだけ登場させないようにしています。まず今回攻略対象でメインヒロインの古河渚。半年以上の長期休学をとっていたため、学校にうまく馴染めず、校門で躊躇していたところ主人公と出会います。性格は引っ込み思案ですが、相手のことを自分以上に思いやる優しさと慎ましさを持ち合わせています。ただ色々な意味で純粋なため、やさぐれ気味の主人公と時々会話がチグハグになる時も。自分に話しかけてくれた主人公のことを全面的に信頼しています。

 他に登場したのはクラス委員長・藤林椋と彼女の姉・。クラス委員長というとお堅いイメージがありますが、の場合は仕事を押し付けられた大人しい女の子というイメージです。ただ主人公相手でも態度を変えず、授業をサボりがちな主人公を心配して時々話しかけてくれます。占いが得意でクラスでも人気があるようですが、その手法はかなり怪しく・・・。姉のと正反対の活発で姉御肌な性格。隠れて原付を乗り回しています。彼女は主人公・陽平もたじろいでしまう豪快さを見せてくれます。
 は主人公とのやり取りですぐに赤面して表情が可愛いです。彼女は取説の扱いを見ると攻略対象に入るのか微妙なところです。もしサブキャラ扱いだともったいないですね。は喧嘩友達としては会話が楽しめそうですが、傷持ちの主人公の心にどこまで入っていけるのか、きっかけが難しそうです。

 現在前半を進めていますが、まずの両親との出会いが面白かったです。殺伐とした主人公に初めて和みを提供してくれて、安心して彼らのやり取りに笑うことができました。あとはの頼みをが告白と勘違いとしてアタフタするところ。これは主人公と陽平の嘘情報が悪かったのですが、途中の妙に艶かしい描写が面白かったです。逆に前半でジンワリと来たのは、主人公の傷を図らずもが踏み込んでしまい、一時二人がギクシャクしてしまうところ。主人公が二階から一人で食事をとるを見かけたとき、どう行動をとれば良いのか躊躇しますが、この時がとった行動にはハッとさせられました。序盤の他愛無い日常会話がこのシーンの伏線になっていたとは・・・、前半から感心させられました。

 本シナリオはメインの話と同時進行に幻想世界の話が展開します。こちらは日常編とは違って退廃的なムードが漂っています。この話が今後どう繋がるのか全く不明ですが、語り部の自分と幻想世界にただ一人登場する女の子の行く末が気になります。

 序盤はこちらの波長にうまく合ってくれたので、このまま物語に浸ってプレイできそうです。の長期休学の理由とともに、今後二人の関係がどのように変わっていくのか先が気になります。そういえばまだOPがなかったですね。このメーカーさんのOP/音楽は美しいので毎回楽しみにしています。取説には歌詞が載っているので、話がある程度進んだら見せてくれるのかもしれません。


中間の感想OP、視聴できました。それにしても随分話が進んでから流れましたね。全く意識していなかったので、突然曲が始まった時はちょっとびっくりしました。しかも幻想世界とのリンクを垣間見たところだったので、いよいよここから本番なのか!と物語への関心が俄然増していきました。
 
 渚の話は設定的に重そうですが、温かな感じが全面に流れていて見ていて心地よいです。理由はの言動が澄みきっていること、それに感化して主人公自身も前向きな行動をとるようになっているところでしょう。あまりに良い子な言動が続くと嫌味な感じを受けかねないですが、不思議とに対してはそのような印象を抱きません。むしろ主人公と一緒に学園生活を充実したいと感じている自分がいます。それに加えての家族は非常に温かいので、この環境をいつまでも見守っていきたいという気持ちにさせられます。このままホノボノエンドで終わっても良いという気にすらさせられました。でも本作のことですから後半は重い話になるのでしょうね・・・。登場人物への感情移入度はかなり高まったので、これからどのように話が展開してものめり込んでいけそうな気がします。

 システムについては文字送り・シーン切り替えは問題なし。既読スキップ・読み返し機能とも充実しています。音楽はいつもながら心に残りやすい曲ばかりで高評価です。登場人物の声は残念ながらなし。従来の傾向を考えると、コンシューマー移植時に追加されるのでしょう。
 あとは主人公の男友達・春原陽平が結構活躍しますね。今までのノベルゲームは主人公の引き立て役かチョイ役で終わることが多いのですが、本作ではなかなかの存在感を見せています。彼専用のドラマも用意されているそうなので、楽しみにしています。彼の妹・芽衣も良い味出していますしね。最初はみちる(in AIR)のようなクソ生意気な妹を想像していたのですが、蓋を開けると物凄く良い子じゃないですか。まさに妹の鏡と言って良いキャラですね。でも実際に彼女が妹だと世話焼きに嫌気がさして逃げ出してしまうか、世話されっぱなしになって頭が上がらなくなりそうです。主人公(プレイヤー)としてはこういうタイプのキャラには年相応の弱さを見せてぜひこちらに頼って欲しいところです(つまりお兄さんらしいところを見せたくなります)。
 今回はヒロイン候補が非常に多いのでしばらくは退屈せずにすみそうです。噂によると総プレイは80時間近くかかるとか・・・。ノリがRPGみたいですね(笑)。まあ慌てずゆっくりプレイしていきたいと思います。


最終の感想
 シナリオ、クリア。シナリオはささやかな夢を家族と友人の支えで一歩ずつ叶えていくところが醍醐味でしょうか。頑張るヒロイン・見守る主人公と周囲の図式が好きな人にはツボなシナリオと言えます。ただ物語自体は完結してなかったので、おそらく後で第2部が用意されているのでしょう(なければ暴れます)。あのラストの続きとなると・・・、には大きな試練が用意されていそうです。

(以下ネタバレ注意)

 もしあのラストの続きがあるのなら・・・、はもう一度3年生をやるわけですよね。今度の学園生活は主人公も陽平もいません。演劇部員は自分を除いて誰もいなくなります。はたった一人でもう一度演劇部の再生に臨まなくてはならないわけです。ますます年齢差が開いてしまい、以前より部員集めが困難になることが予想されます。ただは主人公達から頑張る勇気を与えられたわけですから、今度は坂を上ることにそれほど躊躇することはないと思います。第2部はがどこまで一人でやっていけるかを見るのが肝と言えるでしょう。の頑張りによりラストで演劇が実現できたら非常に感動できる話が見られそうです。・・・といいつつこれはの体調が戻っていることを前提にして話していますけどね。もしそれどころではない話に展開してしまったら(幻想世界のような展開になったら)・・・、かなり欝にさせられそうです。


 本作はサブキャラにもシナリオが用意されているようですね。シナリオをクリアした後、適当に話を進めてみたのですが、期待していただけでなく陽平の妹・芽衣にもお話が用意されていたのは嬉しかったです。シナリオでは超恥ずかしがり屋の女の子をエスコートしていくところ、芽衣シナリオでは頼れる先輩役(兄貴役)になりきるところが醍醐味でしょうか。の今にも沸騰しそうな赤面顔と芽衣の「お兄ちゃん」口撃には撃沈させられそうになりました。制作者さんはツボなシチュエーションをよく研究されています。
 
 マニアックなところでは幸村先生にもエンドが用意されていました。シナリオの派生シナリオですが、裏で主人公達を支える存在がいたことが分かり物語に一層の深みが感じられました。ラストの挨拶シーンにはジーンとさせられました。でも次にが三年生になる時はもう幸村先生はいないのですよね。できれば校内でのの支えになって欲しかったのですが・・・、残念です

 勝平シナリオでは久々にkey節を堪能させてもらいました。骨肉種とはなかなか変化球を使ってきます。ゲームでその名を見たのは「ひまわり」以来ですね。病気の扱いについてはそれ程違和感はありませんでした。それにしてもシナリオをクリアした後で、勝平シナリオをプレイすると非常に複雑な気分になってしまいますね。何か大切にしていた娘を嫁にとられた気分です(苦笑)。でもこのシナリオの方がの内面の強さが見られて魅力的だったので良しとしましょう。


最終の感想(パート2):
 有紀寧シナリオと風子シナリオをクリアしました。前者はおまじないネタ、後者は風子使いネタで笑わせてくれました。日常会話が面白いとページの読み進みも自然と早くなります。クリア後も選択肢回収のためにやり直したくなりますね。主人公と陽平のやり取りがシナリオをクリアするたびにコアな方向へ向かっている気がするのは私だけでしょうか。選択肢もどんどん増えていっていますし・・・。最初のテープの録音内容が毎回変わっていることに気づいた時は妙に凝っていると思いました(一体何種類あるんだろう)。あとは食事に誘う時の「便座カバー」ネタでは思わず吹き出してしまいました。陽平はどのシナリオでも結構絡んでくる上に面白いので、本作に欠かせない存在となっています。

 ひとつ残念なところはCG数がシナリオの長さに比して少ないところです。ここで専用CGがあれば感情移入度がグッと増すのにと思わせる場面がいくつかありました。特にサブキャラのイベントCGが極端に少ないのはもったいないと感じました。全体量としては決して少なくはないのですが、ボリュームを考えるとやはり物足りなく感じてしまいます。

 ここまでプレイしての現時点の印象は十分満足できる出来です。急いで先に進むのがもったいないので核心に関わるシナリオをわざと外していますが、脇のシナリオだけでも結構楽しませてくれました。やり込み用に色々とおまけを用意してくれているところもポイント高しです(ゲームブック編とか銃撃戦編とか3on3編とか)。とりあえずゲームブック編は全ての選択肢を選んだので、次はおまじない編をあらかたクリアしてみようと思います。


宮沢有紀寧誰も使わない資料室になぜかいつもいる女の子。どんな相手でも和ませる朗らかな笑顔をいつも見せています。主人公も最初は退屈しのぎのつもりで資料室に向かっていましたが、そのうち有紀寧と一緒にいる心地よさから毎日足を運んでいることに気がつくようになります。それゆえなぜ人当たりの良い有紀寧がいつも誰もいない資料室にいるのか疑問に思うようになります。彼女はここにいるのは友達と会うためと話しますが・・・。

 最初に有紀寧シナリオを進めた時、もしかして彼女の言う友達とは「見えない」友達のことを指しているのではと想像していました。だからクラスメートに気味悪がられて資料室に一人でいるのだと予想していました。いつ壁に向かって話しかけるのかと冷や冷やしましたが、正体がちゃんとした人間だと分かりホッとしました。でも正体が現実の人間であれば、それはそれで問題が生じてきますけどね。不良のアイドル的な立場に担ぎ上げられた彼女がいつ闘争に巻き込まれないかと新たな不安材料を抱えながらプレイしていました。実際は最後までホノボノな内容で終わったので肩の荷が下ろせましたけどね。今の彼女の立場は不特定多数から一方的に寄りかかられている状態なので良いとはいえませんが、彼女のこれまでの行動から生じた成果と考えれば、一方的に否定することはできません。有紀寧の元に一人一人集まってくるシーンにはジーンとさせられましたしね。この間の経緯をもっと詳しく見たくなりました。今後有紀寧を悪用する勢力が現れないよう主人公が守り、各人が彼女の存在なしでも独立してやっていくことができればハッピーエンドといえるでしょう。

 本シナリオは途中のおまじないイベントが色々と分岐があり楽しませてくれます。相手を惚れさせるおまじないを実践しようとして陽平がズボンをずらしてに迫るシーンではよく停学にならなかったものです。のパターンでは予想通りでしたが笑えました。体育館閉じ込めのおまじないでは陽平秋生のパターンを試してみました。前者2人はなかなかのラブコメぶりを見せてくれました(編はかなり危険球でしたけど)。他ヒロインの何人かにもこのイベントが用意されているようですので、また試してみようと思います。

 
伊吹風子空き教室で一人木片を彫っている女の子。主人公は今にも手を切りそうな危なっかしい手つきを見てついつい口を出すようになります。風子はすぐに自分の妄想に酔いしれてしまうマイペースな性格。しかし彫刻を彫ることに関しては主人公から何を言われても頑なに続けようとします。それには彼女の姉が関係して・・・。

 彼女の話はまずシナリオのルートにのせるのが難しいです。風子狙いだけで行くと確実にバッドエンドに行ってしまいます。彼女の話をすすめるためにはとの関係も重要になってきます。これはシナリオで登場した伊吹先生と出会う必要があるからです。これに気づけば風子シナリオを進めながら、シナリオも進める必要性が分かるので、バッドエンドに陥らずに済みます。

 彼女の話は今までの話の中で一番泣けるシチュエーションが用意されていました。一番keyさんらしいシナリオと言っても良いでしょう。彼女の正体についてはシナリオでほのめかされていたので、ある程度展開は予想していました。むしろプレイ中はもう一ひねりしてくるのではと身構えていました。彼女が入院していると主張していたのは伊吹先生だけだったので、例えば風子はとっくに退院しているのに伊吹先生が事故の責任に耐えられずいまだ入院しているものと思い込んでいたとか、そういう予想も候補に入れていました。実際は直球の展開だったわけですけどね。後半の風子の設定は「ONE2」を思い出させます。主人公が当人以上に忘れていく恐怖に抵抗していくところは見ごたえがありました。後半の主人公は行動の一つ一つが格好良かったと思います。風子側にもう少し運命に抗っていく姿勢が見られたらクライマックスはもっと盛り上がったかもしれません(彼女はすでに達観モードだったので)。

 彼女のシナリオは途中の風子使いイベントがとにかく笑えます。トリップしている風子に悪戯する選択肢がどんどん増えていくところが面白いです(しかもレベルアップ付き)。個人的に「話している相手をすり替えるLv2」と「抱いている彫刻をすり替えるLv2(古河家編)」が笑いのツボにはまりました。最後は風子使いから風子マスターへクラスアップする凝り様です。ただし何の役に立つのかは不明ですけど(笑)。


最終の感想(パート3)
 坂上智代相楽美佐枝シナリオ、クリア。智代シナリオは前半の陽平がらみのイベントが面白かったですね。陽平が蹴られるたびに格闘ゲームのような蹴りコンボが表示されるところが笑えました。それにしても陽平・・・、あれだけ蹴られてよく死ななかったものです。
 中盤からの生徒会長イベントはちと冗長だった気がします。おそらく主人公・智代とも性格が比較的まともだったため、展開が読みやすかったためでしょう。主人公が智代を見習って一緒に高みを目指すストーリーだったらもっと燃えられたんですけどね。最初から主人公が諦めモードだったので、見ている側は歯がゆくて後半の展開はツイツイ読み飛ばしがちになっていました。
 智代が前半に桜を見上げているシーンは何か大切な思い出があるのだろうなと予想していましたが、想像以上に重い内容でした。それが生徒会長を目指す動機と合わさっていくところは、謎が綺麗に解明されてスッキリしました。ただ自分の願う学園生活を犠牲にしてまで桜の木を守ろうとする動機はよく分かりましたが、それが生徒会長を目指す方法論に結びつくのはちと強引な気もしました。生徒会長になったから木が保存されるとは限らないですし、逆に生徒会長にならなくても他に守る方法は存在する気がしましたので。前生徒会が強行に潰す方針だったのなら話は別ですけど・・・。まあ智代にとって生徒会長になることは単純に桜の木を守るだけでなく家族を繋ぎとめるためというのが大きな動機だったのでしょうね。ただそれだとラストで主人公のところに戻ってしまったのはなぜか?という疑問が新たに生じてしまいますが・・・。ちょっとこの辺りは主張に一貫性が感じられませんでした(普通はあの内定決定後のところで最後の別れになる状況でしたから)。ここは弟が姉の苦悩をいち早く察して、それとなく主人公のところへ向かいやすいようお膳立てをしたと捉えておきましょう。


 美佐枝シナリオは後半からの過去編が意外に読ませてくれました。物語の真相に一歩近づいた気分です。前半何気なく登場した猫にあのような伏線が張られていたのは・・・。これを見た後にもう一度猫探しイベントを迎えると妙に切ない気分にさせられます。学生時代の美佐枝さんは見ていて行動がなかなか面白かったので、もっとたくさんのイベントシーンを見たかったですね(生徒会長に選ばれた時の話とか遅刻撲滅週間を樹立した話とか)。
 そういえば美佐枝さんに相談するイベントで智代が登場していましたが、他のヒロインのパターンもあるのでしょうか。もしそうならまた試してみたいものです。の恋相談の話は主人公の軽率な行動に軽い罪悪感と苛立ちを抱いてしまいました。


 さて今までシナリオをクリアすると光の玉を入手する映像が挿入されていましたが、美佐枝シナリオから判断するとあれは願いを叶える玉らしいですね。誰かに幸せになってもらいたいと強く願った時に降りてくるのでしょうか。よく見るとタイトル画面にそれらが表示されているのに気がつきました。現在玉は5つですか・・・。光の玉がすべて集まった時、物語がどのように変化するのか興味深いです。できればに立ちふさがる壁を打ち払う役割を果たしてくれると嬉しいのですが・・・。


最終の感想(パート4)
 一ノ瀬ことみシナリオ、クリア感動という点から言えば本作中一番のめりこめたシナリオです。最初にことみと出会ったときは突拍子のない言動の数々で感情移入しにくいキャラだなあと一歩ひいていたのですが、たちが仲間に加わってからはどんどん可愛く思えるようになりました。やはり本作は恋愛モードよりも友情・家族愛を前面に出した方が物語に入り込みやすいです。今回ことみの友人役として登場していましたが、特にボケ専のことみのトリオには和ませてもらいました。個人的に演劇部の今後を話し合うエピソードがツボにはまりました。門出を祝うはずのBGMが・・・。ヒロイン間の繋がりを見せる話はバランス関係を調整するのが難しいですが、本シナリオは特に破綻することなく物語に深みを与えるのに成功していたと思います。
 
 後半の展開はある程度予想できる内容でしたが、それでもこちらの心に大きく訴えかけるものがありました。世界中を旅したカバンのエピソードでジンワリ来させて、世界一美しい論文で涙腺を決壊させてくれました。論文のエピソードはことみの罪悪感を煽るためだけに使われるものと思っていたので、カバンに入っていたメッセージを見た時にはやられたという気分です。2段階に渡って感動ネタを仕込んでくるとは、今回のシナリオにはうまくはめられたという気分です。もちろん心地よい感動にはまったという意味です。

 おまけ要素の「草野球編」もクリア。女性陣・・・みんな凄すぎです。も実は非力なだけで運動音痴ではないのだと新たな発見をしました。

 さていよいよ残るはシナリオです。このシナリオを最後まで残したのは、後半いかにも鬱展開に進みそうな雰囲気を醸し出していたからです。・主人公とのドロドロの三角関係を見せられそうで、正直今からプレイするのが怖いです。キャラ的にを結構気に入っているのであまり痛々しい仕打ちをしないで欲しいところですが・・・。


最終の感想(パート5)
 シナリオ、クリア。予想通りの痛い展開でしたが、の強い部分と陽平の友達思いな部分が見られたのは収穫でした。結末が分かっているだけにの頑張りを見ているともういたたまれなくて・・・。主人公の心を繋ぎとめるために最も苦手な行動をとり続けていたのですからね。もし途中にを選ぶ選択肢があったら、そのまま寝返っていたところです。
 陽平の偽装告白を真面目に問いただし、男の株を上げていました。智代シナリオといい風子シナリオといい、彼は最も大事なところで選択を誤らないところが格好良いです。
 一方このシナリオで割を食ってしまった主人公とですが、最後はそれなりに面目を保ってくれて良かったです。クライマックスの告白シーンでのには驚かされました。双子なのでいつかやるだろうなあとは思っていたのですが、まさかあのタイミングでやらかすとは思いませんでした。でもエピローグでも話題になっていましたが、あの大事な場面でと気づかなかったのは本当に良かったのか・・・。まあ、それだけ主人公がとのケジメをきちんとつけようと考えていたと好意的に解釈することにしましょう。
 エピローグで勝平の話題がチラッと出てきましたね。勝平シナリオがシナリオの後日談と捉えると、また一際感慨深くなりますね。はシナリオを通して一番成長しているヒロインかもしれません。おまけの主人公とくっつくシナリオがなければ「ONE2」の久遠のようにメインヒロイン以上に人気のあるサブキャラになっていたかもしれません(注:久遠はリニューアル版でヒロインに昇格していました)。

 さてシナリオをクリアしタイトルに戻ると、メニュー画面に変化が現れました。「After Story」ですか・・・。いよいよトゥルーシナリオの登場ですね。はてさてこのまま物語に突撃するか、おまけ要素を先に片付けてしまうか、悩んでしまいますね。噂では陽平とくっつくストーリーもあるらしいので、これを最後に回してしまうのはさすがにまずいです(笑)。焦らずじっくり進めていくことにしましょう。最近ノベルゲームをプレイしていてもとりあえずクリア優先で進めていくことが多かったのですが、今回のようにゆっくり解こうと思わせてくれるのは本当に久しぶりです。それだけ世界観・登場人物に魅力があるからでしょう。



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